2011年10月1日土曜日

【十年政綱】総綱---次世代に対する約束


【十年政綱】総綱---次世代に対する約束

次世代に対する約束

台湾は「グローバル化」と「民主化」の洗礼を受けるとともに、世界に誇れる経済的魅力と民主主義を持っている。だが二十一世紀になった今日、国際情勢および内在環境の変化が急速かつ激烈に起こった。これに対する台湾の対応力と自己変革の意思が試されている。古い考え方をもってしては新たな課題に対応できないことは明らかであり、新しい態度とやり方で将来の趨勢と難題に対処し、根本的な対応策を策定し、台湾を前進させなければならない。


激しく変化する未来に向けて

台湾が直面するであろう現実は、激しく変化する未来である。
まずグローバル化の下での激烈な競争と分配の不均衡といった難題である。グローバル化の荒波が席捲する現在、世界各国は資金・技術・人材・市場・資源の競争と争奪が激化しつつある。商品・資金・人材の流動性も頻繁となり、発展途上国も新たに競争に加わった。要素価格の均等化によって、自由貿易市場のなかで従来拡大してきた国家は、経済成長が停滞、賃金が減少し、貧富の格差が拡大するといった問題が起こっている。これが多くの国において政府が統治するうえで厳しい挑戦を突きつけているのである。

次に知識が主要生産要素となっている点である。農業経済・工業経済が次第に発展し、グローバル化時代になり、大量の資金や安価な土地と資源に依存するだけででは経済成長を持続できなくなっている。知識を基盤にして、既存の知識・技術・資情報の上に立って刷新・拡散・応用を進め、利潤をもたらし価値のある知識集約型産業を生み出すことこそが、将来世界が経済成長を生み出すための主要な戦略であり原動力となるであろう。

また人口構造の変化が挙げられる。世界の人口は2050年には90億人の大台を超えるとみられている。途上国の人口成長のスピードは先進国のそれを優に上回っており、さらに移民などの国家を超えた人口移動によって将来の世界は大きく変化するとみられる。先進国においては少子化および高齢化の問題があり、次世代による扶養負担は増大し、それが家計負担を重くするものとみられる。さらに医療および社会福祉支出、経済活動、生活スタイル、そして政府の財政構造なども大きな変化がもたらされるとみられる。

ほかにも極端な気候による脅威、環境保護、エネルギー節約、炭素減少といった課題も今後世界共通の課題となる。世界は少しづつ地球温暖化と極端な気候の脅威を受けている。経済発展と環境保護の間にバランスをもたらし、気候変動に対処することを国家目標とする国はどんどん増えている。再生可能エネルギーの研究、エネルギー節約技術の発展は発展戦略の重点課題である。先進国はもはや単純にGDPの成長を目指すのではなく、環境とのバランスを追求しなければならなくなっている。特に福島原発事故の後はこの趨勢はさらにはっきりしつつある。

最後に、国際秩序の再編である。中国経済が急激に台頭し、世界の工場から世界の市場へと変貌しつつある。十・二五計画の期間に国民所得を倍增することをうたっている。米欧日などの伝統的な経済体は経済成長のボトムネックにさしかかっているなかで、世界は中国経済の転換を無視できなくなりつつあり、慎重にそれへの対応策をつくらなければならない。他方、中国は民族主義を鼓吹し、軍備拡張にいそしんでおり、大国支配構造が変わりつつある。経済が急速に発展するにもかかわらず中国は民主改革は伴っていない。そのためその台頭が果たして本当に「平和的台頭」になるかどうか、世界の関心の的であり、将来の国際情勢の変化を占うものとなる。

これら国際情勢の変化は次のことを説明している:台湾がこれまで依存してきた経済発展の基盤や環境が大きく変化し、変化したものが台湾に強く影響を与えていること。そのため、台湾は自らを見つめ直し、既存の価値・戦略・発展モデルが台湾の将来を導くものとなりうるかを検討していかなければならないということである。


台湾という国が直面する課題

第二次大戦後、世界システムの再編と自由貿易の拡張があった。それは十八世紀産業革命に続く第二の経済革命であり、台湾を含む新興国家の多くが国際市場に参入し、異彩を放ってきた。台湾は広大な世界市場に向かい、多くの台湾人がスーツケース片手に全世界にビジネスチャンスを求めて駆け回った。これが国內の工業化と完全雇用をもたらした。同時に台湾社会には自由と人権を求める意識が台頭し、政治的な民主化が少しづつ達成された。

こうした「グローバル化」と「民主化」の洗礼を受けて、台湾は新興工業国家と民主体制をうちたてた。しかし二十一世紀の最初の十年を終えたいま、台湾は生存発展に関係する新たな挑戦を受けている:

1. 経済は台湾の生存発展の命脈であり、グローバル化の持続的発展と中国の台頭に対しても、これまでは輸出加工に過度に依存する経済発展戦略をとってきた。だが途上国の台頭で産業の海外移転、失業率の上昇、賃金伸び悩み、貧富の格差拡大などの問題が発生した。もし独自の知識的・文化的創意による新産業を発展させ産業構造のレベルアップをしなければ、台湾の国際競争力は徐々に失っていくことになろう。

2. 台湾は国際金融経済情勢の変化から大きな影響を受けており、現在世界経済構造と金融秩序の急激な再編を受けている。経済自由化が引き起こした金融危機、弱肉強食の競争、景気の衰退などの問題が国の安定と国民の生活に脅威を与えている。

3. 世界の原油および天然資源が次第に枯渇している。エネルギーに強く依存している台湾にとって、これに速やかに対応しなければ経済の発展の原動力と自主性を失うことになりかねない。しかしこれまで「開発唯一主義」の思考の下、生態環境の破壊により災害を引き起こしてきた。農業は長期にわたって疎外され、収奪を受けてきた。これによって国土の保全と食糧の安全性が大きく損なわれることになった。

3. 経済発展のアンバランスによって失業率が持続的に拡大し、貧富と地域の格差が増大してきた。それが社会の調和と発展を阻害し、分配の正義という問題が明るみになってきた。都市部の不動産価格は市場の失敗の典型で投機筋の操作対象となっており、価格が急騰し、中間層や弱者の住む権利が剥奪されている。

4. 社会が急激に変化し、高齡化・少子化が進んでいる。これが社会福祉支出の增加、內需産業の構造調整、新規参入労働人口の減少、経済成長の停滯ちといった問題につながっている。これらが社会セーフティネットと財政能力に対して大きな課題を突きつけている。若い世代が今後重い国家債務を肩代わりすることになり、世代間の正義が実現しにくくなっている。

5. 台湾は人材不足と流失の危機に直面している。科学技術の発展と、経済・社会的ニーズとの乖離が目立ってもいる。教育は試験による人材選抜に過ぎないという思考が蔓延し、教育を受ける機会が不均等化している。文化の多元性と主体性がこれによって挑戦を受けている。

6. 台湾の誇るべき民主主義は、二度目の政権交代によって後退がみられる。国家は真の民意を反映できず。政党の公平で理性的な競争環境は生まれていない。報道の自由もどんどん後退し、司法体制は人権と正義を守るという役割を果たしていない。


古い思考では新たな課題に対応できない

われわれを取り巻く問題はそれぞれ複雑にリンクしている。もしわれわれがが短線思考だけで解決しようとするなら、必ず失敗するであろう。

台湾が直面する課題は、過去の発展モデルや価値観によって解決されるものではない。もしそうした過去の固定観念に固執して改革を怠れば、将来の情勢変化に対応して台湾を導くことが不可能であろう。

過去において政府には長期的に能力を発揮し、積極的に責任を負うという精神が欠落していた。長期的な問題に短期的な方法で対処したり、全体的な問題を細かく切り分けて対処したりしてきたが、それでは問題の根源的な解決には結びつかない。現在台湾が必要とする新たな発展戦略とは、前向きの視野と専門的な立場から将来の情勢や困難に対して根源的な対応戦略を提示し、徹底的に構造転換し、課題に立ち向かうことである。

党外時代から結党、政権獲得、そして二度目の政権交代を通じて、民進党は改革理想主義の政党であり続けた。しかし2000年から2008年の政権担当の間、経験不足もあって、国民からの期待にこたえられず、党の発展は挫折し、それがひいては台湾民主化過程への打撃となった。幸いにして台湾国民は民主主義への堅い信念を持ち続けており、民進党は国民の力に依拠することで再び立ち上がることができた。これによって民進党は台湾社会に対して不可避の責任を背負っていることをさらに自覚することになった。

台湾の将来の発展に伴うさまざまな課題に対して、民進党はその理念、および過去八年の政権担当経験とそれへの反省を踏まえて、「十年政綱─未来十年台湾発展政策綱領」というマニフェストを提示することになった。これは民進党の責任ある態度を示すものである。台湾が今後十年にわたって、そしてさらに遠い未来に向かって進めるべき全面的な見直しと思考によって、台湾が将来直面するであろう不利な情勢や困難の中でも、契機をつかみ、実力を発揮し、国民がさらに公平な発展の機会とさらに幸福な生活を送れるような指針を示したものである。


新しい考え方─「十年政綱」

一、位置づけ
十年政綱は、次世代への約束である。これは台湾で今後十年間に発展させるべき政策の青写真と行動綱領である。


二、総目標
十年政綱の総目標は、「台湾を強化し、台湾を結集する」点にある。台湾経済の持続的発展の基盤を強化し、台湾社会運命共同体の意識を結集するために、台湾の主体性と総合国力を高め、台湾の不断の進歩と成長を目指す。
台湾を強化するには、まず産業の構造転換と国際競争力の向上が必要である。同時に産業構造を調整し、経済の均衡発展を目指す。それによって雇用を充足し、所得を上げ、国民に富が蓄積させるのである。台湾を結集するためには、生活の品質を高め、教育に投資し、文化を深め、生命共同体を形成しなければならない。政府は民主的なガバナンスにより、戦略と決意をもって改革を進め、台湾を小さくとも強い、自信にあふれた国家としなければならない。


三、核心理念
十年政綱のすべての主張には、二つの重要な核心理念が貫かれている。それは「世界に向かう」と「公平と正義」である:

(一)世界に向かう
台湾は海洋経済・海洋国家としての特質を有している。そのため、世界の発展の趨勢に適応し、開かれた態度で世界に向かわなければならない。それは競争と課題に立ち向かうことであり、国際的責任を引き受けることである。世界に向かって発展するためには、民主主義と人権という普遍的な価値、土地と国民のアイデンティティに立ち、グローバル化に立ち向かう強い戦略をもち、体系だった経済的・社会的セーフティネットを整備することである。それによって台湾が世界と歩調をともにしつつ、土着的な発展が可能となるのである。

(二)公平と正義
公平と正義は政府の責任である。かつて成し遂げた経済繁栄と民主主義的価値を基盤として、台湾は貧富格差の悪化、分配の不均衡、環境破壞、財政悪化といった問題にたち向かい、政府が責任をもって、市場の欠陥を穴埋めし、弱者や支援が必要な家庭、若い世代のためにケアや支援の仕組みを整備し、所得・居住・土地・環境・世代間の正義を打ち立てなければならない。



台湾改造の六つの主軸

十年政綱には六つの主軸がある:雇用優先の高品質経済、公平な分配がある互助社会、持続的発展可能な安全な環境、多元・創造的な教育文化、市民参加による民主主義深化、多角安定的な平和戦略――である。この相互に関連した六つの主軸は、台湾改造の鍵となる戦略であり、後代の子孫のための台湾の将来像である。

一、雇用優先の高品質経済
グローバル化と気候変動、金融危機後の世界経済金融秩序の再編といった衝撃に直面して、われわれはGDP成長唯一主義を改め、雇用を創造し、所得を高め、生活の質を高めることを経済発展の目標とし、新たな成長戦略を打ち立てなければならない。それには次のことが含まれる:輸出と内需のバランス、世界と土着をリンクさせた「均衡成長」;雇用人口、弱者の就業、中小企業を重視した「寛容な成長」;知識、科学技術、創意による「知識基礎成長」;エネルギー節約と生態環境保護を目標とした「グリーン成長」。
今後十年にわたって台湾は積極的に経済構造を調整し、グローバル化と地域経済統合に対応して、内需拡大、輸出入の多様化、産業構造の良質化を目指す。台湾は同時に第二次産業再生として、知識、創意にもとづいて国際競争力を高め、産業発展と土着経済と土着雇用の結合を目指すべきである。
金融危機によって引き起こされた世界金融秩序の破綻と、国債債務危機によってもたらされた大きな衝撃に対して、台湾は財政健全化と金融安定化を基本政策として、バブルをあおる虚構の繁栄を目指さない。
グローバル化とネットの発展が世界に衝撃を与えているいま、台湾も経済・社会的に急速に変貌を遂げている。今後の科学技術の発展には、国民生活の発展、土着経済の支援、中小企業の開発支援、産業転換、公共の安全性の向上、創意ある教育文化と持続的発展が重要な役割を担うであろう;科学技術の発展方向と資源の配置には、台湾の発展目標と全体のニーズにしたがって、知識経済・文化創意・持続的発展の次元から斬新な科学技術発展と管理の枠組が必要である。
人材は経済発展・社会進歩・文化創意・国際競争力を目指すうえでの重要な要素である。近年台湾の各部門において人材不足が目立ったり、また大量の人材が中国に流出したりして、国際競争力が低下する危機が迫っている。今後十年、政府は全方位型の人材開発戦略を策定し、計画的に人材を育成し、人材を国内に引き止め、国際的人材を吸収し、台湾の進歩と発展を目指さなければならない。

二、公平な分配のある互助社会
リスクが高い社会は個人で対処できないものである。政府は責任をもってセーフティネットの構築に努め、国民に最大限可能な福祉サービスを提供すべきである。台湾人口の高齢化、少子化、家族解体、失業率增加、ワーキングプア増大などといった新たな社会問題に対して、政府は国民のリスクや衝撃を軽減する措置を行うべきである。今後政府が必要なのは「永続的な社会セーフティネット」であり、老人、児童、弱者へのケアであり、各種社会保険の公平性と永続性の確保である。
政府は各家庭の基本的ニーズを充足させることに責任を負うべきである。より多くの公共保育制度、ケアサービス、教育サービスを提供すべきである。また女性の労働参加と経済的能力の向上にも努めなければならない。家計負担は主に家賃からなることを考えれば、不動産投機防止と不動産価格安定化に力を入れ、弱者に対して家賃補助や社会福祉住宅の提供などを行い、居住の正義を実現させるべきである。
政府はまた最大限の努力を雇用の安定化、所得成長、労働者権益保護、貧富格差の縮小に傾け、高い雇用、高い平等が実現した調和団結社会を実現させるべきである。政府はさらに税制の合理化を行い、社会的公正、サラリーマン階級の租税制度の公平化に努めなければならない。
台湾は積極的に国内の地域発展が長期にわたってバランスに欠け、都市と農村間の格差が広がっている問題も解決しなければならない。そのためには国土発展戦略を見直し、地域均衡と地方のガバナンスを改善し、多角的国土整備計画により発展空間のバランスを改善し、地域差を縮小しなければならない。

三、持続的発展可能な安全な環境
原発事故、温室効果ガス削減、エネルギー供給の安全性などの問題に対応して、台湾はエネルギー安全性が国家安全保障の一環である点をはっきりと認識し、エネルギー安全性の戦略的思考、グリーンニューディール、再生エネルギーの積極的開発、発電・送電効率の向上、エネルギー節約を目指すべきである。同時に産業・工業発展モデルの変革を進め、エネルギー密集度の軽減、エネルギー自主性の向上などを行い、「ポスト原発時代」に対処しなければならない。
気候変動、災害の頻発、資源枯渇、環境破壊などの問題に対して、台湾はこれまでの環境生態や社会文化を無視した開発唯一主義の思考模式を改め、「生態を中心とした」「適切に調整された」ことを新たな核心的価値としなければならない。「自然に順応し、消耗を節減し、災害を減らす」戦略により、気候変動やエネルギー枯渇に対応していかなければならない。
台湾はまた農業の存在を改めて認識すべきである。農業がもっている食糧安保、生態保育、社会安定性、生物多様性などの価値を活用し、単なるGDP総額に対する比重だけでその価値を軽視するのではなく、永続的農業こそ今後の施政の核心として、生態環境保育を重視し、優良な農地を確保すべきである。


四、多元・創造的な教育文化
台湾はこれまで十数年にわたる教育改革の結果、一定の成果をあげられたとはいえ、まだまだ人口・産業構造の急速な変化の衝撃、グローバル化による国際競争激化といった課題に対応できていない。台湾の教育はまさに未曾有の試練に直面しているといえる。
今後十年の台湾は、より開かれた、全面的な教育改革を行うべきである。それによって教育機会と品質の不均等といった悪弊を改善でき、さらに近代化された国民を育成することができる。精神文明の資産を蓄積することを教育目標とし、単に社会的人材の選別装置であるという旧来の思考を改めるべきである。改革をさまざまな段階、さまざまなシステムにひろげ、教育の国際競争力を向上させ、教育によって政治的民主主義、経済発展、社会的開放、文化的進歩といった台湾の国家発展目標の達成を図る。
台湾は文化を深め、国民生活の素質を高め、台湾発展の基盤を強める必要がある。文化政策は台湾がもっている多様な文化的価値を重視し、文化の多様性と主体性を結合させ、「文化市民権」の意識を強めるべきである。今後十年にわたって文化的投資を増加し、多元文化共同体を打ちたて、国民の文化的素質が高い生活環境を形成し、文化藝術と地方産業発展を結びつけ、台湾文化の国際的な認知度などを高め、文化を深め、台湾社会構造転換の重要な基盤としなければならない。

五、市民参加による民主主義の深化
台湾は独裁から民主化を成し遂げ、民主主義の制度は形式的には初歩的なレベルに達しているとはいえ、実質的にはまだまだである。台湾は歴史的環境の影響を受けている。外在的には中国の政治経済的パワーによる脅威を受け、内在的には国家アイデンティティの分裂と独裁の遺物といった問題に直面している。そのため、いかにして民主主義を深化、定着させるかが当面の課題となっている。今後の台湾は「多元民主主義」「持続的民主主義」「民主的ガバナンス」を核心理念として、民主的枠組を充実させ、民主的参加を拡大させ、直接民主主義を実現し、民主的憲政の健全な運用を進め、社会の民主主義に対する信頼性を高めるべきである。
民主的原則は地方ガバナンスにも適用されなければならない。中央と地方の権力分立は地域競争力の強化を目標とすべきであり、中央政府に権限と財力が集中することによる弊害を軽減させるためにも、地方自治の精神を徹底的に実現しなければならない。
司法改革は民主主義深化の基本的要件である。台湾の司法改革は遅々として進まず、司法の正義は伸張せず、国民の司法に対する信頼性は低い。大胆に司法改革を行うことなくしては社会の期待に応えられそうもない。今後の司法改革は人権保障と人民の利益保護を核心として、国民の司法への参加と監督を拡大し、「民主化」「専門化」「透明化」の方向に質を高め、国民のための司法、司法の公平性、司法の独立性といった理念が実現されなければならない。
族群関係と民主主義の調和は密接に関係した問題である。台湾は多族群社会であり、各族群の複雑な歴史的背景にかんがみ、族群の調和と相互協力が何よりも重要である。今後の台湾は族群の調和を重要視し、優勢な族群が族群関係の反省者・参加者とならねばならない。そうすることで「多元かつ対話」「多様かつ交流」といった族群政策を進め、本党が掲げる「多様の中の一体」といった目標、文化的に健全かつ創意あふれる新たな市民社会を形成することができる。

六、多角的で安定的な平和戦略
台湾の生存と安全、価値と尊厳、繁栄と発展を維持するために、安保戦略は次の五つの核心理念によらなければならない:台湾は民主主義、自由、人権、環境保護といった正義の価値と原則にもとづいて外交と対外協力を行うべきである;両岸はともにかつての歴史的な枠組を乗り越え、共通の利益にもとづく戦略的思考を新たに打ち立て旧来の思考にもとづく対立を解消させるべきである;台湾の対外関係は世界および地域協力の枠組の下で世界均衡戦略を発展させ、世界のネット社会との直接的リンクを目指すべきである;台湾の利害に重大な影響を及ぼす外交・安保政策としては、台湾の将来の発展に対する選択も含まれるが、それはすべて民主的な原則と手続きによって決定されるべきであり、それによって民主的な社会的コンセンサスを結集すべきである;台湾は国民の安保意識意識を高め、全国民による心理的防衛、新たな軍事的脅威への対応能力、といった安保の枠組を強化すべきである。
対外経済関係においては、中国はグローバル展開の一環だと位置づけ、世界を意識し、国際競争力の向上を目標として、産業構造の強化、企業経営と商品開発能力の強化、台湾の経済的自主性の防衛を行うべきである。中国と経済関係を発展させる場合は必ず互恵的であるべきで、一方的に利益を譲り渡すべきではない。また平和的であり、衝突があってはならず、世界との相互関係を強化するなかで、世界経済戦略のなかでバランスをとり、世界の視点から中国に向かうべきである。



結論:次世代に対する約束
十年政綱は民主進歩党が政権を奪還するうえでの政策要綱であり、この十年政綱にもとづいて、完全で効果的で実行性のある具体策を立案していく。十年政綱の目標を実現することで台湾は公平と正義、自信にあふれた未来を築くことができる。
われわれが期待する未来の台湾とは、次のような姿である:経済的には国際競争力を完備し、国民が仕事を通じて自己実現が図られる;政府は公平に社会資源を配分し、国民をケアし、正義を実践する責任を負う;国家発展は自然と調和・共存を図り、良質かつ安全な生活空間を整備する;国民は独立した思考と能力と創意にあふれ、独自の文化的特質を持つ;社会は多元共栄し、国民は民主主義・自由・人権を十分に享受できる;国全体としては激動する国際情勢にも安定した基盤を築き、世界と充分にリンクする。
民進党は次世代にこのような国を約束する。
民進党は時代の変化に立ち向かう勇気を持つ。
民進党は改革の責任を負う。
十年政綱は民進党の次世代に対する約束である。現在行動することが、台湾の将来を決定するのである!
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