2015年9月1日火曜日

積極的に革新を進める 蔡英文:新しい「長期ケア体系十年計画」を提出


民主進歩党主席で総統候補者の蔡英文は1日、社会福祉チームの林萬億召集人、性別チーム召集人劉毓秀及び医療チーム召集人の陳時中と、積極的に革新を進める―長期ケア政策映像発表記者会見を行った。会議では、初めて政策ビデオー長期ケア編を公表した。
蔡英文が発表した政策全文は以下の通り

皆さんおはようございます。今私たちが見た長期ケア政策の動画は、私たちが最初に作った政策動画です。短い動画で現在の政策の枠組を作ってみました。内容を深く知りたい人は、林萬億教授の先ほどの説明をご参照ください。また、詳しい政策の主張は、ホームページ上で公表しています。

長期ケアの各制度について、社会には多くの異なる主張が存在し、多くの議論もあります。私はこの議論はすぐには終わらないと考えています。これらの問題に対して、原点から考え直す必要があると考えています。私たちが自分自身に問うべきは、私たちが期待する長期ケア制度は一体どのようなものか、ということです。

私たちは、家にいる老人が、出来るだけ地域や家庭で適切なケアを受けて欲しいと希望しているのでしょうか。私たちは、長期ケア体系の構築に政府に一層の責任を担ってもらうべきと考えているか、それとも全て民間に任せるのがよいと考えているのか、どちらなのでしょうか。

1.施設ケアの問題

実際、台湾の老人が施設で面倒を見てもらっている割合は、ヨーロッパやアメリカなどの国家と比べると高くありません。大きな施設に空きベッドが数多くあるということは、台湾のお年よりは施設で面倒を見てもらうのは余り好きではないということです。
施設の中で、多くのお年寄りはテレビを見たり、ぼんやりとしたり、寝たりしているほかは、することがありません。子供がたまに来る以外は、彼らはとても孤独で、孤立し、隔離された感じを受けており、自宅にいるお年寄りよりも、早く年をとっていきます。
多くの家庭にとって、施設でのケアは、最良の選択ではありません。時にそのような選択を取らねばいけないこともあるでしょうが、もし品質の良くない施設にあたってしまった場合、お年寄りにとっても、家族にとっても苦痛なことになります。
地域や家庭の中で世話が受けられ、家族が近くにいることができるなら、お年寄りのいる家庭にとっては、皆が安心で温かい生活を送ることが出来るでしょう。

2.家庭でのケアの問題

 多くの人は、施設の品質に満足せず、経費が負担できないということ、親孝行ではないという気持ちから、自分たちで親をみることを選んでいます。しかし、私たちは皆このことがとても大変であるのを知っています。家庭で老人ケアをする間、ケアをする人は常に24時間、年中無休です。私たちはよくニュースで、介護をする側とされる側に悲劇が起こったことを耳にします。これは、少しも安らぐ時間がないことが原因です。家の人は体力と精神力を消耗します。なぜなら、政府は彼らの憂鬱と苦労の負担を解消しようとしないからです。
そして、このよう大変な仕事は、常に女性の身に降りかかってきます。多くの女性は外で働くことが出来なくなり、経済的弱者となり、家庭の収入も一人分が減ってしまいます。
一部の比較的恵まれた家庭は、外国人ヘルパーを雇う資格に合致するでしょうが、老人にとってみれば、コミュニケーションをとるのが大変です。生活上、文化、管理の問題を克服しなければいけません。時には、雇用主が労働者を不当に働かせたり、違法行為を行ったり、問題がいろいろ起きることがあります。

3.長期ケアモデルの選択

よって、最初の問題―長期ケアシステムは政府が多くの責任を持つべきか、それとも市場に委ねるべきか。また、住宅訪問サービスか、地域のサービスを進めていくか、答えは非常にはっきりしています。

責任ある政府は、完全で多元的な介護の体系とサービスを提供し、サービスを地域から家庭にいたるまで、提供するべきと考えます。我々は現在施設サービスに不足しいているわけではありません。よって政府はこの段階で全力をあげて地域のサービス体系を整え、今ある施設を我々が必要な品質まで高めて、介護を一層個人のニーズにあわせることが必要です。

実際我々は外国人の看護士が、台湾のお年寄りのために多くのことをしていることに感謝をしています。しかし、社会が高齢化していくにつれて、我々は、もっと多くの国民がケアの仕事に関わるべきではないかと考えねばなりません。社会のニーズを仕事の機会と経済の産業価値に変えていくことです。

私はこれまで多くのお年寄りや障がい者のいる家庭と話をし、彼らの苦痛や無力感を理解してきました。私が今日提出したのは、新しい「長期ケア体系十年計画」です。十年長期ケアの2.0版と言えるかもしれません。私たちの目標は、地域化、普及化、そして手頃な長期ケアのシステムを提供することです。そのことによって、お年よりは自分たちが最も安心した地域で心置きなく老後を過ごしていけるようになるのです。

2日前、私は「五大社会安心計画」というものを提案しました。つまり、我々の社会で、我々の生活が安定し、安心できるものにしていこうという提案です。長期ケア計画はその中のひとつの大変重要な項目となっています。

4、税収制度か保険制度かの選択

これはつまり、なぜ我々はこの段階で、長期ケア体系が保険制ではなく、税収制を選択するべきと考えているかということです。税収制を採用すると、政府は資源を運用でき、全力で地域の長期ケアサービスを発展させられます。最も早いスピードで手軽な金額にすることができ、サービス普及体系を作り出して、足りない部分を埋めることができます。

もし先にこのようなことをせず、長期ケア保険を取り入れた場合、政府は責任を負わず気が楽でしょうが、私たちが期待している地域サービスの体系は実現できません。もし人々が手当てを受け取っても、質のよいサービスを手にするのは難しいことです。長期介護保険制度が出来あがったとしても、市場価格の吊り上げ現象を招くかも知れず、品質を上げることにはつながらないでしょう。

よって、現段階、サービスの量は甚だしく不足しており、長期ケア保険をいきなり実施しても台湾にとって決して最良の選択にはならないのです。この問題は、サービスがある一定の程度に達してから、再度討論するべきです。

その上、長期ケア保険の保険費用は、多くが労働者の負担です。もし税収制度を採用すれば、我々は不動産交付税、相続税等の項目を固定財源とすれば、社会の分配効果もあります。

今林萬億教授が説明したように、例え長期ケア制度をとっても、政府はやはり360億から400億の資金調達が必要となります。その資金について、長期ケア保険を主張している現政権、現執政者は財源がどこから来るのか説明していません。我々は財源を責任持って見つけ出し、これらの財源を我々地域の長期介護体系の仕組みづくりに使用し、全ての力を長期ケアサービス体系の構造の中に注いでいくのです。

5、新しい「長期ケア体系作りの十年計画」(略称:長期介護十年2.0版)
  
この8年来、政府の長期ケア政策は「四つの不足」がありました:予算編成不足、介護人員の不足、田舎における資源不足、地域サービス不足です。これは民進党政権時に提出した十年長期介護が、馬政府によって「八年先送りされた」結果です。

我々が再度政権の座に就けば、直ちにこの問題について修正し解決する方法を提案します。以下は我々の目標です。

1つ目の目標は、家庭訪問サービス、地域の長期ケアサービスを推進すること。先ず、地域整合型のサービスセンターを発展させる。このセンターは、地域を単位として多元的なケアサービスを提供するもの。宅配サービス、家庭看護、デイケア、短期預かりなど。最も重要な目標は、地域型のサービスセンターを通じて、老人が安心して地元で年をとっていけるようにすること。

二つ目の目標は、公共医療体系を強化すること。一般的なケアを除いて、お年寄りや障がい者の医療の要求について、我々は地域の健康ケアチームを作ること。

私が先週提出した医療政策の主張では、我々は衛生所を「地域健康介護管理センター」に変えて、地元の健康ケアネット網をつくり出し、地域の仕事、医療看護、理学療法などの専門員を配置し、地元に即座に便利な医療サービスを提供する。この地元のケアネットでは、転院や病診連携を提供し、異なる状況や異なる需要を持つお年寄りが、最も適した介護を得ることが出来るようにする。

3つ目の目標は、質と量を兼ね備えた人材育成。ケアサービスに十分な人を育成するには、介護管理の専門員に専門職業と技術の資格テストを受けさせ、外国人配偶者も長期ケア人員として育てていく。長期ケアは将来非常に重要な国内産業であり、しっかりと発展すれば、ケアの品質を向上させられるだけではなく、多くの雇用の機会も増えていく。
  
もっとも重要なことは、長期ケアサービスの職業の価値と社会の地位を上げることであり、彼らの労働条件と安全を守り、そのことで多くの人が長期ケアサービス産業に身を置こうと希望するようになることだ。

4つ目の目標は、長期ケアの都市と田舎の差を縮めること。資源不足の地域には、専門のプランで補っていく。原住民の地区には、原住民の特色あるケアシステムを作り、原住民族の人たちの要求に合致させていく。

5つ目の目標は、安定した長期ケアの財源である。実施初期は、我々は指定税収300億元に公務員予算の30億元を上乗せし、長期介護体系の安定的な財源とする。需要が増加していくのを見ながら、これらの財源を優先的に非営利サービス機構に提供し、手頃な価格のケアサービスを提供する。

6つ目に、部会を超えた「長期ケア推進チーム」を設置すること。中央政府の努力だけでなく、地方政府と民間のエネルギーを合わせて、各部門と政府機関上下の介護サービスを統合させ、すぐさま便利で効率的な目標を達成する。同時に、長期ケアの品質の規範と管理を強化する。

6、結論:「負担でき、利用でき、優しい」長期介護サービス体系

今日は皆さんととても完全な私たちの長期ケア政策の計画と考え方を説明できとても嬉しく思います。私たちの最終的な目標は、「負担でき、利用でき、優しい」長期介護サービスの体系です。どのお年よりも地元で年をとり、安心して過ごし、尊厳がある相応しい介護を受けられるようにします。


再度、林萬億教授、劉毓秀教授、陳時中醫師他、シンクタンクの専門家の皆さんに対し、専門知識でもって多大な貢献をして下さったことに感謝します。我々は再度ここに強調します。既に準備が出きました。来年政権を執った後には、新しい長期ケア2.0版をすぐにスタートさせます。皆さんありがとうございます。

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