2015年10月6日火曜日

「台湾総統候補 蔡 英文氏を励ます会―東京・10月6日」 蔡英文主席 講演内容 


皆さま!ありがとうございます!
自民党秋元司(Tsukasa Akimoto)衆議院議員、民主党長島昭久(Akihisa Nagajima)衆議院議員、民主党鷲尾英一朗(Eiichiro Washio)衆議院議員、また、国家基本問題研究所の櫻井理事長、元交流協會の台湾駐在代表池田維(Tadashi IKEDA)氏、元総統府国策顧問金美齢(Bilin KIM)氏、お越しいただき、誠にありがとうございました。
東京を訪れることができ、そして、これだけ多くの方々の顔をみられるのは、非常に嬉しく思います。前回皆さまとお会いしたのはすでに四年前のことです。前回の選挙を終えてから皆さまに一言お礼を申し上げたかったですが、その機会がありませんでした。今日は、この機会を借りて、まず四年前の皆さまによる御支援に心より御礼申し上げます。自分で日本に来ることができませんでしたが、皆さまの私に対する御支援と御指導を、ずっと心の中で大事にして参りました。
実は父が私のために日本語の先生をつけてくれたことがありましたが、なかなか上達できず、それもほとんど忘れましたが、このフレーズだけは忘れておりません。
当にありがとうございます
そして、皆さまが長年台湾のために多くの努力をされてきたことにも感謝しなければなりません。日本にいる台湾人は、ずっと台湾と心をあわせ、台湾のために犠牲を払い、貢献してこられました。今日の台湾に民主と自由があるのは、皆さまのご尽力があったためです。このことに関して、私は感謝と感動を覚えずにはいられません。ありがとうございます。そして、来年の台湾もまた皆さまのお力をお借りしなければなりません!お願いいたします!
我以及我的團隊的改變
今回こそ皆さまをがっかりさせません!なぜなら、今回皆さまの前にいるのは、もはやかつての蔡英文ではありません。この四年間、私と私の同志たちは、自分たちの足で台湾の津々浦々を満遍なく歩き回りました。雲林県の麦寮で養豚者の気持ちを聞き、台東の原住民の村落で収穫されたトウモロコシの山の中で子供達と一緒に寝転がり、我々は台湾人の苦労、台湾人の努力を心に染みるほど学び、感じてきました。台湾人が大事にしていることを、我々は一身に背負う覚悟をもっております。
この四年間、我々はあらゆる産業についても学び、あらゆる業界の専門家にも教えを賜ってきました。私が自分の政策チームに対する要求は、自分たちが打ち出す政策には、方向性についての構想だけではなく、それを執行できる計画もあわせて作成することであります。それによって、政策が実務的かつ周到であることが確保され、政権にもどることができれば、すぐにでも堅実なガバナンスができるのです。
我々の政策チームには、なんと台湾全体の財政計画を考え、限られた予算で最大な効果をもたらす政策を考えています。本当に台湾という国が直面している様々な問題とその対策を徹底的に考え通す作業をしてきました。
四年前であれば皆さまの前ですべての同志が蔡英文派であるという自信はなかったかもしれません。なぜなら、我々もまだ模索していたからです。しかし、今回は違います。私は自信を持って、我々は全員蔡英文派です、と大きな声で言えます。我々は台湾の運命を変える準備ができています。
この四年間、オフィスで政策を立案したり、閉じこもって政策を計画したりしてはいけないことを幕僚たちに諌めてきました。山奥であれ、海の中であれ、必ず現場に行かねばなりません。それは台湾社会の強靭性が分かるだけではなく、台湾社会の希望、問題を解決する方法が見えてくるからです。この考え方こそが、この4年間、蔡英文とのそのチームにとっての最大の変化です。
民進黨的改變
私だけではありません。四年前に比べれば、民進党も大きく変化しました。4年前、我々は6つの自治体のみを有していました。行政パフォーマンスはすべて高く評価されていたが、その力と資源は限定的でした。

今や民進党は13個の自治体にて政権を持っており、中には4つの直轄市があります。今年の党創立記念大会の時、われわれの自治体の知事、市長たちが次から次へとステージに上がり、横一列に並びました。陳菊市長が真ん中で、桃園の鄭市長、台中の林市長、総勢13名いました。
私はその光景に強く感動を覚えました。民進党は本当に立ち上がりました。2008年の失敗と失望によってもたらされた挫折感はもはや遠いところへ去りました。我々は一つのチーム、しかも大事な経験を伝承できる、一致団結して協力できるチームです。
2008年に民進党主席の重責を担ってから私はよくわかっていました。我々はひとりではない。団結さえすれば、民進党は再び立ち上がります。誰もが転んだりします。しかし、転んでも構いません。泥をはらって戦い続けるのです。これが民進党精神、そして台湾の精神です。
2009年に鄭文燦市長がはじめて市長選に立った時、彼はまだ私の広報部の部長でした。選挙まであと58日しかなかった時点で、彼は私の命令を受け、選挙に出馬しました。結果的に桃園という難しい自治体で4万票差の惜敗でした。2012年の立法委員選挙でもまた負けました。去年の統一地方選挙で彼が再び出馬したが、これで負けたら彼が自信を失ってしまうのではないかいと私は心配しました。

しかし、彼は自分は必ず勝つと強く信じていました。誰も彼の勝利を信じていなかった時でさえ、彼の信念に揺るぎはありませんでした。結果はご存知の通り、彼は大勝しました。選挙の勝利を受けて、彼が真っ先に電話をかけたのは私でした。興奮状態の彼は230分ほど滔々と話し、実に口数の多い人でした。私はひたすら聞き役に回りましたが、本当に彼に言いたかったのは、私は彼以上に嬉しかったことです。
基隆の林市長も同じです。はじめて基隆の選挙に出馬した時、彼のことを知っている人はほとんどいませんでした。それでも彼は、きちんと準備すれば機会は必ず訪れると信じ、基隆に行くのは「土壌を掘り起こし、耕す」ためですと言い続けました。努力さえすれば、必ず収穫できると彼は信じていました。そして三度目の正直で、ずっと準備してきた彼は、昨年年末に見事に当選しました。
台中の林佳龍市長もまたそうです。当初台中に行ったとき、土地勘もなく、知り合いもいませんでした。台中の有権者は彼を認めませんでした。しかし、10年もの歳月を費やし、多くの台中市民の心を勝ち取り、台中の有権者は、彼に台中という都市の発展・建設を委ねることを選びました。誰もが林市長の努力を「石の上にも『十』年」と賛嘆しています。これが、まさに民進党精神です。
今日ここにいる蕭美琴委員も同じです。2010年に私が花蓮に行くのをお願いしてから、もう5年経ちました。その後彼女はずっと花蓮の土地で頑張ってきました。この数年間は比例代表の身分で花蓮の方々の世話をしています。花蓮で現地の人に選挙で選ばれた国会委員は誰なのかを聞くと多くの人たちは勘違いし、彼女だといいます。今回彼女が当選する機会はとても高く、鄭市長、基隆の林市長、台中の林市長のように、彼女の努力が有権者に認められ、漸く収穫の季節が訪れようとしています。ここに花蓮出身の方いらっしゃいますか?今回は必ず帰って投票していただきたい!お願いいたします!
四年前、私は皆さまに戦況について五分五分であると報告しました。今年の状況はご存知の通り、前回より僅かながら良い状況です。しかし、私ははっきりわかっています。投票が終わるまで我々は一刻も気持ちを緩めてはいけません。我々は日々全力で選挙戦を戦っております。
さらに、国民は我々の勝利を望んでいるだけではなく、勝利を手にいれた後、我々は台湾のために何を成し得るのかを、国民はじっと見つめていることを克明に心に刻むべきだと私は常に自分のチームに説いています。
皆さまが台湾に帰ると感じられるはずですが、4年前に比べると、今の台湾社会は、民進党に対する期待がもっともっと高くなっています。皆さまの故郷では、人々は変革を望んでいます。なぜなら、誰もが今の台湾は、まさに改革あるいは後退の岐路にたっているとわかっているからです。改革に突き進まなければ、台湾の将来は想像に絶えません。

まずは、政治の改革からです。私は世代間正義の実現、政府効能の増進、国会改造の始動、移行期の正義の実現、そして政争の終結という5つの大きな政治改革を提案しました。
そして、社会の改革に関しては、安心できる住宅、食品、コミュニティケア、持続する年金計画、そして治安維持という5大社会安定計画を提案しました。
経済改革のため、私は、グリーン・エネルギー・テクノロジー、スマート・アプリケーション、バイオテック、精密機械、国防産業という5つのイノベーションとRD計画を発表しました。
これらの改革を実するためには、大量の法案の改正が必要とされ、そのすべてを国会で完成させなければなりません。だからこそ、今回繰り返し皆さまにお願いしてきたのは、国会で台湾を進歩させる力に、過半数を取らせなければならないことです。さもなくば、改革が遅れ、改革が半減してしまいます。改革を強く支持する国会があるからこそ、台湾が邁進することを支持できるのです。
そのため、今回の選挙において、民進党の姿勢は明確です。我々は党派を問わず、すべての力を結集し、改革を優先します。昨年末の統一地方選においてすでに証明済みです。民進党は協力のできる、コミュニケーションのできる政党です。私は台湾の有権者に保証します。民進党が単独過半数を取れたとしても、すべてのことについて力尽くでやることはありません。改革を支持するすべての人たちと一致団結し、力合わせて社会とコミュニケーションを取り、改革が現実的に、穏健的に進められるようにしなければなりません。
今回の訪日は、経済と文化の旅でもあります。私にとってとっても重要なことの一つは、日本産業のイノベーションの経験から学ぶことです。そして、台湾と日本が産業と経済発展の連携と協力を探る重要な機会です。
この考え方をもっているのは、何も私だけではありません。実は数日前、民進党のシンクタンクから何人かの専門家が日本入りしています。彼らの目的は、水素エネルギー技術の応用について学び、産・官・学の関係者に会い、日本のエネルギー産業の最新発展を視察することです。
かつて、台湾の産業が利益を確保する方法の一つは、コストを削減することでした。そのため、多くの工場が海外に移りました。結果的には産業自体は儲かりましたが、国内の雇用、分配にとっては役に立ちませんでした。民間の消費も全体的には衰退してしまいました。しかし、皆さま、お気づきでしょうか。日本で製造した商品は今でも台湾では人気です。台湾人は多少値段が高くても、日本製の商品を買いたがる、なぜなら、日本製はすなわち品質が保証されていると皆さんが信じているからです。

これによって証明されているのは、産業のイノベーションと品質の保証は、コストの削減より重要であるということです。こうしたマーケットのニーズはまさに台湾産業の競争力を引き上げるきっかけになるのです。
台湾産業の復興を実現するために、我々は5つの産業イノベーション・イニシアチブを推進し、それらを産業復興の牽引車にしたいとおもっています。まず、桃園ではスマート・アプリケーションを中心とするアジアン・シリコンバレーを推進したい。台南ではグリーン・エネルギーRDセンターを作り、台湾のエネルギー政策の転換を図りたい。台中では、スマート機械の製造と精密工作機械の産業アップグレードを促すことを考えています。また、バイオテクノロジーと、国防産業も重点発展産業としてあげられています。
我々がやり遂げたいのは、まさに台湾の産業が方向性を定め、もっともっと国内外のイノベーションの動きと連携し、本当の産業アップグレードに向かうことです。
この5つの産業イノベーションだけではありません。今回日本に来た目的の1つは、日本政府が農業技術のイノベーションとマーケティングについてどのように考えているかについて理解することです。日本と同様に、台湾もグロバリゼーションのチャレンジを直面しなければなりません。今の日本政府が推進しようとしている「攻めの農業」と、さきほど私が提案した「強い農業」と同じように、農業技術とマーケティング力の引き上げによって、地元の農業の競争力を強化することです。我々はこのようなやり方について多く学ばなければなりません。

今度日本に来たのは、台日関係の深化だけのためではありません。それよりも、台湾と日本の産業の連携のためです。台湾と日本は建設的な競争関係でありながらも、非常に相互補完的です。特に光学、自動車、消費型電子とデジタルコンテンツ、これらの分野はすでに深い協力の基礎があります。将来は、台湾と日本が「モノのインターネット」、新しいエネルギー、スマート・シティなど新しいプロジェクトについて協力し、より緊密な台日産業同盟を構築し、グローバル・マーケットにてより強い影響力を持つことを強く期待しています。
周知の通り、台日間の友情は、以前にもまして緊密になっています。ここ数年、台湾と日本はともに、311の東日本大震災や高雄のガス爆発事故のような不幸な災害に見舞われました。
しかし、その不幸の中においても、台湾と日本はお互い助け合う、サポートし合う、それこそ「苦難の時こそ真の友である」ことを心底から感じました。311の後、台湾人は誰にも言われる必要なく、こぞって義援金を寄付しました。こんなに小さい台湾は、なんと義援金を一番多く集めた国です。
去年の高雄ガス爆発事故が発生した後、多くの日本人も懸命にサポートしようとしました。高雄市の姉妹年である東京の八王子市においても、北海道にある小さな町である東川町にも義援金を集める人々が立ち上がりました。
遠いところに住んでいる方が、わざわざ車で義援金箱が設置されている役場までこられ、「少ないですけど、台湾が2011年の大地震の時に助けてくれたので、どんなに遠くても来なければいけない」とおっしゃったそうです。
皆さまも私のように、これらの話に深く感銘を受けたはずです。台日関係はこれまでにない友好的な時期を迎えようとしています。この重要な時に、私は皆さまにお願いしたい。皆さま全員に台湾の国民外交官になっていただきたい。台湾人が民主、自由を目指す情熱と、平和への信念を、すべての日本の友人にわかってもらうようにお願いします!
民主的な価値観を共有する以外に、地域の平和的発展のためにも、我々は努力しなければなりません。東アジアの平和と安定は、地域内のすべての国の利益にかかわり、すべての国がともに責任をもっていることです。台湾と日本は東アジアの重要なメンバーであり、その責任をきちんと背負い、地域の安定と平和のために、積極的に貢献すべきです。
明日は山口県を訪れる予定です。皆さまもご存じの通り、山口県はすなわちかつての長州です。幕末の長州と薩摩は当初激しく敵対していましたが、新しい日本の誕生のために、日本を国際社会に登場させるために、薩・長は相互の憎しみと仇を忘れ、手を繋いで協力し、明治の維新を切り開きました。彼らは「開国」を推し進め、日本のあり方と考え方に徹底的な変革をもたらしました。
実は本来ならば、今回の訪日は明日出発し、土曜日に帰ることを予定していました。その後、すべての日程を1日前倒しにし、それによって訪日を手伝ってくれていた多くの友人に非常に迷惑をかけてしまい、実に心苦しかったのです。
日程を変更した理由は、今度の土曜日に総統府前で行われる国慶日の祭典に出席するためです。
私がこのように決定したのは、行動を持ってある考えを示したかったからです。今回の選挙を通して、私がずっと強調してきたのは、相手を受け入れてこそ和解がありえ、和解してこそ団結できるということです。これが我々の持つべき価値観であり、今回の選挙において促したい変革です。台湾がより良くなるために、社会を団結させるために、国が必要としている改革を成し遂げるために、我々は無意味な政治対立を終わらせるべきです。
しかも、一致団結している台湾は、突如空から降ってくるわけではありません。我々の手で新しい台湾を作らねばなりません。その過程においては様々な意見があり、挑戦もあります。しかし、強い信念をもち、団結に向かうならば、やがては台湾国民に認めてもらえると私は信じています。
今我々の努力はこれからの台湾の10年、ひいては20年の運命を決めることになります。今は、まさに台湾が大きく世界へと羽ばたくことができるかどうかの正念場です。その正念場に、我々が欠席するわけには行きません!頑張りましょう!

さま!来年の選挙で、必ず台湾を取り戻します!しかし、忘れてはならないのは、選挙の勝利は、政党にとってあくまでも一つの出発点にすぎません。終着点ではありません。台湾の改革のために勝つのです。改革は社会の団結をもたらすためであり、分裂を引き起こすものではありません。我が国はこれからも多くの困難に立ち向かわなければなりません。だからこそ、国民・社会を一致団結し、一緒に困難を乗り越えるのです。
皆さまに保証します。私は団結した国の指導者であり続けます。台湾を安定した状況で、改革の道をしっかり歩むように導きます。だからこそ、来年の一月に、台湾で再び会うことを約束しましょう!みんなで台湾のために、もう一回頑張りましょう!いかがでしょうか!台湾で会いましょう!
私には、来年民進党を率いて政権を奪還する自信があります。
私には、台湾を率いて、堅実な改革の道を歩み、我々の誇りを取り戻し、台湾がふたたび国際舞台において注目されるようになる自信があります。来年の116日に、蔡英文は皆さまが必要です、民進党は皆さまが必要です、何より、台湾は皆さまが必要です。我々の手元にある一票で、一緒に台湾を次の時代に送り出しましょう!みんなで一緒に台湾をライトアップしましょう!お願いします!ありがとうございました!




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