2015年10月1日木曜日

蔡英文 アジアのシリコンバレー産業政策全文


918日に発表した「五大イノベーション研究開発計画の一:自然エネルギー科学技術イノベーション産業」政策発表後、民主進歩党主席で総統候補者の蔡英文氏は1日、シンクタンク産業チームの龔明鑫召集人、前経済部長何美玥、前金融監督管理委員会主任委員の施俊吉、前国家科学会議サンフランシスコ駐在科学技術組リーダー楊航、蔡英文選挙事務室政策執行長張景森の同席のもと、「五大イノベーション研究開発計画の二:アジアシリコンバレー産業」記者会見を行った。

      蔡英文氏の政策発表は以下の通り

今年6月、私はアメリカに行き、シスコシステムズを訪れたとき「デジタル国家、スマートアイランド」の考えを提案しました。台湾はこれ以上遅れをとることはできません。決心を持って、積極的に法律のしくみ調整し、モノのインターネットの時代に切り込まなければいけない、と考えています。

私たちはかつて、民進党の重要な産業政策の重点の一つは、先見性のある「未来産業」だと提案しました。これらの未来産業は、これまで既に多くを語ってきたので、皆さんよくご存知でしょうが、例えばIoT(モノのインターネット)、Big Data、スマート生産つまりインダストリー4.0、及び将来我々が引き続き皆さんに説明していく最新鋭の国防科学技術などがあります。

今日発表する「アジアシリコンバレー計画」は、つまり我々の「未来産業」の中の一つの具体的な計画です。

2つの軸:国内に向けて、世界に向けて

この計画は、2つの交差する軸があります。一つの軸は「国内に向けて」、もう一つは、「世界に向けて」です。

先ず、国内に向けて、台湾のスマート応用、モノのインターネットのサプライチェーンを強化することです。台湾企業の製造能力は大変強く、研究開発の力があります。もしシリコンバレーの研究開発能力を結びつけ、シリコンバレーの技術、資金と人材が加われば、高度なイノベーション能力、世界的なサプライチェーンが形成出来るでしょう。

我々は、シリコンバレー企業と台湾企業を協力させて、いくつかの都市を選び、台湾でスマートシティを発展させ、優先的にスマート物流、交通、健康介護等の建設にとりくみ、モノのインターネットとビックデータの実験場所にしていきます。これで、台湾企業の技術能力が上がるだけでなく、台湾の人々も優先的に便利でニーズにあった科学技術生活を享受することになります。最後に、私たちは更に進んで、システムをまるごと全世界に売りに出していきます。

二つ目の軸は、世界に向かうということです。つまり、台湾をアジアイノベーション交流のハブにするのです。桃園飛行場の傍に「アジアイノベーション研究開発人材交流センター」を作り、これと、シリコンバレーで見学したイノベーション交流センターとが緊密に連絡を取り、双方で同時に歩みを進めていくことです。

我々はまた、大学や専門学校を一層国際化させ、世界各国の若者が台湾で学ぶ事を推奨していきます。そして、台湾の育成プログラムを通じて、彼らが台湾で起業するのを助け、初期の資金集めや、商品開発と市場に出す過程を解決し、直面する問題について、彼らに一連の協力を行っていきます。これを我々は「アジア青年イノベーションIPOセンター」と呼び、私たちの目標とします。

私は多くのシリコンバレーで働く台湾人と知り合いになりました。多くがシリコンバレーに数十年暮らし、豊富な経験を持ち、ある程度の資金を持っています。ベンチャーキャピタルに従事している人もいます。もし我々がこうしたシリコンバレーの人材を仲立ちし、台湾の起業家により多くの機会を与え、アメリカ西海岸のエンジェル投資家とベンチャーキャピタル交流を可能にすれば、台湾のイノベーション事業の資本市場が世界と結びつくことができます。これは前に突き進もうとする私たちのスタートとなるものです。

近い将来、私は講演で皆さんに説明をしますが、台湾のベンチャーキャピタルとイノベーション事業、資金集めの問題―それらについて、私たちは改めて別の機会で皆さんに具体的で詳しい説明をしたいと思っています。

私たちは、シリコンバレーの企業が台湾で新しい会社を設立する事を支持しています。しかし強調したいのは、これはこれまでの伝統的な企業招聘のやり方ではなく、各方面のつながりを強化していくということです。我々はシリコンバレーと台湾の研究開発を結びつけ、製造能力を高め、シリコンバレーと台湾双方の人材を結びつけたり、シリコンバレーの資金と台湾本土の起業家を、国内外で強く結びつけたりしながら、台湾の産業を真に発展させていきたいのです。

桃園を本拠地にし、新しいイノベーションの環境を作る

我々はアジアのシリコンバレー計画の実行の本拠地を桃園に決めました。なぜなら、ここは非常に有利なイノベーション事業の条件を有しているからです。
桃園はアジアの五大都市-香港、上海、ソウル、東京、シンガポールからの距離が、飛行機でいずれも3時間以内であり、その中心に位置しています。

桃園は現在29個の工業区があり、1万以上の工場があり、サプライチェーンとして整っており、「スマート産業」「未来産業」の発展があります。桃園は新竹の情報通信産業地域や、台北のソフト会社や企業本部とも、車で1時間ほどの距離です。新しい会社や若い起業家にとってみれば、商品の新しいアイデアが出たら、すぐさま工場を見つけ、試作してみたりするのには、桃園は完璧で素晴らしい場所なのです。

桃園は6つの都市の中で、人口が最も若い都市です。多元的な高等教育体系があり、多くの学科教育が、産業と密接に繋がっています。勿論技術者や専門家、様々な学習能力があって、努力し、実力を試してみたいという、専門的な人材を探し出すことができます。

ここでは、交通も人材も産業も研究開発体系も、非常に良い基礎があります。これが、なぜ我々が桃園を選んだか、という理由なのです。

これまで、似たような産業工業区の計画を聞くと、多くの人が連想するのは、また一つ工業区を作るのかという疑問や批判、土地の投資に利用される等ということです。これはつまり、過去政府が産業を発展させるのは、土地を探し、    一つのサイエンスパークを計画して工場を作ることだったからです。しかし、現在の台湾の産業は、産業のグレードアップのニーズが非常に強烈であり、工業区があるだけでは十分ではありません。

我々の計画は、ひとつのインターネットの概念です。過去のサイエンスパークとは違うもので、大規模な製造活動を引き込むのではなく、多くの土地が必要なものでもありません。我々がやることは、産業と学術と研究単位を適した環境で、相互に交流と支援をし合いながら、同時に国際的な資源を引き込み、イノベーション環境の助けとなるものを作るのです。

イノベーションを通じて、産業は順調にグレードアップできるのであり、新しい成長のエネルギーを見つけ出せるのです。そして、地元で買い取り供給することが活発になっていけば、人材が移入し、自然に地域の活力をもたらします。これが一つの地域、一つの都市が永続的に発展する方法なのです。

仕事のチームを作り、積極的に企業を呼び込み完全な法律を作る

桃園のアジアシリコンバレー計画のほか、台南の自然エネルギーイノベーション地域、そしてスマート機械、バイオテク、国防など3つの産業項目、我々は引き続き皆さんに説明をしていきます。将来、五つのイノベーション研究開発計画は、全て専門的なチームが責任を持ちます。産業の発展の成績は、所属チームの重要業績評価指標です。

民進党政権が誕生した後は、アジアのシリコンバレー計画を実現するため、チームを作って自ら監督指導していきます、いち早くシリコンバレーベンチャーキャピタルや投資会社と協力し、シリコンバレーにある潜在力を持った企業を直接桃園に呼び込みたいと考えています。そして、政府は協力して、全世界で人材を探し出し、プランを探し、産業の機会を探し、台湾に持ち込んでいきます。

我々は国会と協力することが必要で、技術を持つ人材のビザと移民条件を緩和し、エンジェル投資家、ベンチャーキャピタルと新規公開株の仕組みを完備させます。我々は給与所得税率を合理化し、学校及び先生と学生が起業に参加するための関連する規則を緩和していきます。   

我々がやることは、台湾をアジアの人材の舞台にし、科学技術イノベーションを生み出し、起業の本拠地にし、「デジタル国家、スマートアイランド」のビジョンを実現することです。

ニーズがイノベーションを動かし、イノベーションがグレードアップの原動力になる。
      
私の産業発展の理念は、とてもはっきりしています。それは、ニーズで導くことであり、台湾の内部や世界が遭遇する問題を、産業の発展の目標とすることです。例えば、医療ニーズ、食品安全ニーズ、労働力、ニーズにあった交通システムと消費形態などです。

各ニーズに台湾産業の強みを結びつけること、例えば通信や精密機械の領域において、海外と協力すれば、優れた商品を生産してビジネスチャンスを見つけ出すことができます。例えばロボットの応用や医療のビックデータ、スマートカー、スマート物流、電子ビジネスなどは我々が開発するのに値するものであす。

ニーズがイノベーションを作り、イノベーションがグレードアップの機会を作ります。産業グレードアップの後、我々は輸出をし、競争力を生み出すことができます。この過程の中で、新しい雇用の機会も生み出され、台湾の若者に良い給与をもたらすこともできます。中小企業も一緒に参加し、富の分配を更に公平にします。これこそが、イノベーション、雇用、分配の経済発展新モデルなのです。

今日、我々はアジアシリコンバレー計画を発表し、将来の20年、台湾企業の発展の基礎を作っていきます。これまで台湾の人材、資金が外に流出してきた現象をひっくりかえすのです。

もし、あなたが技術のある中小企業者であれば、シリコンバレーベンチャーキャピタルから連絡があるかもしれません。そして一緒に世界に進出できるでしょう。
もしあなたがエンジニアなら、アメリカ西海岸のプログラマーとcodingの知識を交換し、自分の専門を一層磨いて、それを発揮していくチャンスがあるでしょう。 
もしあなたが起業家なら、桃園とシリコンバレー双方の企業を結び、新しい商品の開発を進め、独特のビジネスモデルを作ることができるでしょう。


世界は台湾を待っています。民進党は皆さんと一緒に前進します。皆さんありがとうございます。

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