2015年12月4日金曜日

蔡英文教育政策発表記者会見挨拶全文


民主進歩党主席で総統候補者の蔡英文は4日、シンクタンク社会群顧問の林萬億、シンクタンク教育チーム召集人陳東升、選挙事務室政策執行長張景森と共に、教育政策記者会見に出席した。林萬億教授の報告を聞いた後で蔡英文は、自ら2016年総統選挙教育政策を発表し、メディアからの質問を受け付けた。

蔡英文主席は挨拶で、「学生に楽しく勉強させる」、「保護者の負担を減らす」、「教育を時代に合ったものに」、「18歳の一人前の公民を育てる」の4つの重要目標を提案すると共に、この4つの目標達成するための6つの政策の方向性について説明した。蔡英文主席は、教育政策を考えるときは原点に立ち返る必要があり、教育の意義と目標が何であるか考えなければならない。教育は学生にとって、楽しい学びの課程であるべきであり、親にとって、重い経済負担と心理的プレッシャーのかかるものであってはならない。教育資源にはある程度の公共化が必要である。教育は時代に合ったもので、将来の発展の趨勢と価値に合わせて、次の世代の考え方や、デジタル、言語能力と文化の涵養を身につけさせることが必要だ。教育体系は、国のために一人前の公民を育てていき、しっかりと社会の責任を果たせるようにしていくことが必要だ、と述べた。
最後に蔡英文主席は、教育は時と共に進化し、政府は確実に問題に解決、これまでの体制の問題を全面的に解決して、人材育成の効果をしっかり発揮するべきである、との考え方を示した。

蔡英文主席の政策発表全文は以下の通り:

メディアの皆さん、先ず私は教育チームを引っ張ってくれた林萬億先生と、チームに協力してくれた陳東升先生に感謝を表明します。

教育政策が今になって発表されたということについて、教育政策が大事ではないということを意味しません。実際教育政策は非常に重要であり、教育チームは我々のシンクタンクの中で、最も長い時間をかけて政策を討論してくれたと言ってよいかもしれません。と同時に、この討論の過程において、我々は専門家に来て頂いただけでなく、多くの高校、専門学校の教師の皆さん、大学の教授にも来て頂いて、また産業の代表の方々に産業のニーズを説明していただき、保護者の団体にも来ていただいて、一緒に話をしてきました。私は多くの場所に赴いて沢山の座談会に参加し、その過程で台湾の教育の問題を、次のステップでどのように対応していくべきかと考え続けてきました。現在10数名いる教育チームのメンバーは、これまで非常に苦労をしてきました。ここで我々は教育チームに感謝を表したいと思います。

我々は次の段階の教育政策として、先ず考えなければならないことは教育の意義と目標がどこにあるかということ、特に我々が直面する将来の挑戦についてであります。過去20年、「教改(教育改革)」という2文字が、「理想」を表す名詞から、多くの人々の心の中で疑問符へと変化していきました。この20年来の、台湾の教育制度の難題は、「とても複雑である」と言えるでしょう。もちろんこの間いくばかりかの進歩はありましたが、それよりも多くの論争が繰り広げられてきました。

よって、教育政策を考える前に、我々は先ず原点に立ち戻って、教育の意義と目標は一体何であるか、を考える必要があります。

先ず私は、教育は学生にとって楽しい学びの過程であるべきだと考えています。

義務教育の段階で、学生は先生と親のサポートのもとで、勉強を通じて自分の好きなことや可能性を見つけ出し、同時に自分で考えることのできる能力を養うべきです。「人を中心に考える」という教育精神の下で、学生は淘汰されず、分別されず、放棄されず、強烈な競争ストレスにさらされるべきではありません。

それから、私は教育が親にとって、経済負担や心理的ストレスが重くのしかかるものであってはならないと考えます。

よって、教育資源はある程度の公共化、弱者家庭の子どもたちにも学習の機会が与えられるものでなければなりません。教育は、学校での勉強が仕事に役立たないということにならないよう、次の世代が職場で十分な競争力を持つことを助けていくことです。そうすることで、親は子どもたちの将来を心配する必要がなくなります。

第三、私は、教育は時代遅れにならず、将来の発展の趨勢と価値に合ったものでなければならないと考えます。

以前の教育モデルは、試験、覚えること、標準的な答案に偏っており、過去の「OEM」生産モデルの産業ニーズには適していたかもしれませんが、このような古い観念を、新しい世代の学習方法と内容の枠組みにするべきではありません。

将来の新しい経済の時代では、創意、研究開発、マーケティングが重視されます。よって学生が身につけるべきなのは、思索、デジタルと言語能力、文化涵養、これらこそが次の世代と産業に必要な特質です。

最後に、私は、教育体系は国家のために、次の世代の一人前の公民を養成するために能力を備えていなければならないと考えています。

多くの工業先進国家では、18歳は既に成人で、既に一人前の独立した年齢です。よって我々は18歳の青年に完全な公民権を与えることを主張します。しかし、であるからこそ、教育体系にはより一層の責任を持たせなければなりません。義務教育の段階で、学生の公民素養を養い、彼らに生活能力と専門技能を学ばせて、社会で活かせる能力をつけさせていきます。こうすることで、彼らが18歳になったときに、独立自主が可能となり、社会の責任を完全に担っていくことができるのです。

私は将来の若者の選択肢が、今よりもより広く多元的であることを願っています。私は近い将来、我々の高校と専門学校の学生が「進学」することだけに忙しくなるのではなく、彼らが自分の特性に基づいて自分の特長を発揮していけることを願っています。18歳で卒業した後、もちろん進学することを選ぶことができます。しかし、先に職場で仕事をしたり、国際ボランティアになったり、田舎に行って社会サービスをするという選択も可能なのです。

このような若者は、社会での経験を経たあと再度学校に戻り、更に成長していきます。いっそう自分の追及する目標がはっきりしてくるのです。我々の高等教育体系は、よりオープンな態度で、こうした若者を大切にし、多くの良い条件を提供して、学校に戻って再度学習出来る場所にするべきです。

簡単に言えば、「学生に楽しく勉強させる」、「保護者の負担を減らす」、「教育を時代に合ったものに」、「18歳の一人前の公民を育てる」、が我々の教育政策の4つの重要な目標です。これらの目標を達成させるため、我々は確実に問題を解決しなければいけません。よって今日、私は教育政策の6つの方向性を宣言します。

第一、幼児教育について

我々がすぐに取り組まなければいけないのは、幼児保育の公共化を広げること、合理的な価格、品質が保障された保育サービスを提供することです。これらは親の経済負担を削減することになるとともに、少子化の危機を逆転させる重要な方法です。

第二、義務教育について

最も重要なことは、悩みの種となっている入学制度を解決することです。我々は全面的な試験免除を実現させたいと思っています。「資源を優先的に投入し、いち早く高校専門学校を平均的に向上させること」を、この問題を解決する鍵にします。

12年義務教育を推進するのが難しいのは、「高校専門学校を平均的に向上させること」が存在していないからです。「良い学校に行くことが、良い教育を得ることが出来る」という考え方をなくすことができていないからです。

将来は、十分な資源を投入して、地域の高校の教育の品質を高めていきます。高校が近くの大学や専門団体と協力して、優秀な学生に合わせた様々な授業内容授業をとりいれます。優秀な学生が人と競ってトップの高校に入ろうとしなくても、地域の近い高校に入学しても、同じような良い教育を受けることが出来るようにします。同時に、学生の学力の差が学生のやる気を奪ったり挫折したりすることのないよう、将来の義務教育は、幾つかの授業をクラスに分かれて教えます。このようにしながら、一歩一歩全面的にテスト免除の学区入学を実施すれば、妨げは少なくなると考えています。    

第三、専門技術の教育について:

将来改革の第一歩に必要なのは、全力で学力の差を縮めることで、出来るだけ学校教育と職場の実務をつなげることです。そして、学校側が各業界の人材を招いて、第一線で活躍している人に、学校で自分の経験を伝えてもらう機会を作り、学生に学習と実演を通じて、その業界の流れについていけるようにすることです。

同時に、制度上で我々は一層活発なプランを提供し、様々な証明書の取得方法を増やし、授業の場所は学校だけに限らないこと、また、仕事をしている人が、学校に戻り、引き続き学んで自分の仕事の競争力を強化ができるようにします。

第四、高等教育について

学力の差は高等教育が直面する問題です。大学は自分の強みや伝統を考え、所在地の産業と文化のニーズで学校の特色を出して発展していくべきです。統計上の学術成績や数字を追及しすぎて、社会の趨勢にマッチせず、自己の特色を発展させていかなければ、大学は国家の将来に必要な人材を輩出することはできません。

大学は地方産業と良いパートナー関係を結び、産学協力を強め、大学が地方産業の研究開発と人材技術の育成の中心と後ろ盾になるべきです。

この他、「少子化」の趨勢の下で、我々は大学過剰の問題も避けては通れません。私は、政府は大学が自然消滅していくのを放置するわけにはいかないと考えています。国家の発展と地域発展の戦略が結びついて、大学の変化を推進していかなければなりません。

閉校する大学については、現役学生の学ぶ権利と教職員の権益が先ず保障されなければならなりません。我々は専門的な法律を作り、専門の部門と基金を設立して、順調に学校の閉校に関連する問題に対応しなければなりません。

第五、専門知識を教える教師について:

先ほど4番目の項目で話したとおり、学生が主体であることに変わりありませんが、教育現場で実際に学生とやりとりしている教師は大事な役割をもっています。

幼児教育の部分で、我々は全力で幼稚園の先生と保育士の労働条件を改善し、子どもたちに最善のお世話と教育を提供できるようにします。

義務教育の部分では、我々は教師により自主を持たせて、職能成長や授業のやり方の研究発表を奨励し、より多元的で活発なやり方で、学生の考え方や潜在能力を啓発させていきます。

技術職業教育の部分では、我々は職業のスペシャリストと業界の人材を学校に招いて自分の経験を伝えてもらい、学生の勉強と仕事を結びつけます。

高等教育の部分では、先生は学生の研究が専門能力を身につけられるように指導します。「学生を教育すること」は彼らの重要な職責であり、全ての教師が、国際論文の発表に精をだすわけではありません。

私は、先生の役割が社会に認識され、肯定されることで、教育改革のパズルの最後のワンピースが完成し、我々は、教育制度のそれぞれの段階にある問題を解決でき、学生に豊富で多元的な学習環境を提供できると考えています。

第六、「先見性のある教育」の主張について

教育は時代にあったものである必要があります。我々は今日のための教育ではなく、明日のための教育をし、学生は明日のために勉強していくのです。

よって、我々は将来の教育が学生の問題解決、生活美学、知識の蓄積、様々な専門知識の統合、多元的イノベーション、団体協力、という6つの先見性のある能力を強化し、学生たちの独立自主的な生活能力を高め、社会との繋がりをもたせ、将来の挑戦に向かうことができるようにしていきます。そして、学生がこのような能力を学べるように、同時に指導要綱を簡略化し、少しずつゆとりのある教育にしていき、教育改革を下からスタートさせていきます。

進学せず先に仕事についた高校専門学校の卒業生に対して、政府はより多くの実質的なサポートを与えていきます。職場に入り、安心して技能を学べる環境を作ります。ボランティアの仕事では、政府は国内外に多くの意義ある仕事を提供します。志願兵についても、我々は若い人が部隊で産業のニーズにあった専門的な技能を身につけられるようにしていきます。

同時に、より多様化する職業ライフモデルに対応するため、将来の教育体系は一層オープンで、先に社会人になり仕事をした青年が、いつでも学校に戻ってきて知識を深められるようにします。入学の優遇措置や入学資格の保留等、必要なしくみを完成させて、若者がより適性にあった多元的な成長ができるようサポートしていきます。

最後に、私の教育理念は非常に簡単です。次の世代にどのような人材が必要か、現在の教育体系には責任があり、必要な人材を育成していくということです。よって、教育を時と共に進化させ、政策が確実に問題を解決できるようにし、全面的に目下の教育体制が抱えている問題を解決していき、教育が真に人材育成の効果を発揮できるようにしていきます。

皆さん、ありがとうございます!

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