2015年12月25日金曜日

蔡英文第一回政見発表立論内容


司会の劉主任委員、張監察官、朱主席、宋主席、各メディアの皆さん、そしてテレビの前の国民の皆さん、こんにちは。

一人の人が倒れたなら、起き上がるのは難しくありません。一つの政党が倒れたら、起き上がるのは難しくないかもしれません。しかし、国家が倒れたなら、再度起き上がるのには、大変な苦しみを伴います。

1980年代、私がイギリスで勉強をしていたとき、私は歴史の長い民主国家が、不景気な経済や社会の対立から、どのように一歩一歩再起するのかをこの目で見てきました。当時、台湾の経済発展のスピードは速く、世界の注目を浴びていました。そのときに私は、30年後の今日、自分がこの場に立って、台湾の人々に対し、我々はどうすれば愛する国を守れるか、どのように再起できるか、ということを語ることになろうとは、思いもしませんでした。
台湾はどうしてしまったのでしょう?どうすれば良いのでしょう?そしてまた、どの方向に進めば良いのでしょうか。これは過去数年来、全ての人々の心にあった疑問です。

この最初の政見発表会で、私は台湾の人々の心の声を伝えます。私は皆さんに、台湾の全体の経済発展の方向についてお話しします。同時に、私の両岸関係の主張についても説明します。後の2つの政見発表で、続けて私の「居住正義」、「エネルギー計画」、「年金改革」、「ロングケア」などの重大な問題について、考え方を皆さんに説明します。

既に申し上げましたが、政治は政策で成り立つべきものです。よって、私は今日と後の二回の政策発表会で、国民の皆さんに十分な時間を使って報告できることを期待しています。私が民進党主席に就任して以来、私はずっと自分のスタイルで、台湾の政治を変えようと試みてきました。今日のこの重要かつ神聖な場所も、もちろん例外ではありません。

私は先ず、本当にあった一つの話から始めたいと思います。両親が中部で小さな金属加工工場を経営している30歳を過ぎた知り合いの若者の話です。従業員は10名にも満たない工場ですが、業界ではそこそこに知られている会社です。この若者は兵役後、家に戻って家業を継ぐことを決意しました。しかし数年立って、その若者は経営が良くなっていないことに気がつきました。若者はやる気がありましたが、どの方向に邁進していけばよいのか分かりませんでした。彼の両親は現状のままでいいと考えていましたが、現状も長続きしませんでした。

発注は日に日に少なくなり、中国大陸との競争は次第に大きくなっていきました。設備の投資をしても、将来が見えません。技術を向上させても、それを継続していくのも難しい。この若者と両親との衝突も日に日に大きくなりました。その後、彼は先ず暫く家を離れることにしました。縁があって、彼は今私のチームの一員になっています。

彼は父親の工場を継げなかったことに対して、後ろめたい気持ちがありました。工場の従業員の将来を思い、夜中まで商品サンプルを作っている父親の事を思い、彼は涙をこぼしました。

皆さん、こういった話は一つだけでもなく、特別な例でもありません。私は虎尾のタオル工場で、別の中小企業の二代目が、同じように涙をこぼしたのを見ています。このような人たちはみな懸命に努力していますが、一様に同じような焦りを抱えています。家業を継いでいきたいけれども、なかなか出来ない。会社を手放そうにもそれができないのです。中小企業はかつて台湾の経済成長のエンジンでしたが、現在は苦境に陥っています。グローバルな経済の不景気やレッドサプライチェーンの衝撃が事実であっても、私は中小企業はこれを乗り越える能力があると信じています、かれらは、政府が台湾の経済がどちらの方向に進むのか、ということを話してくれるのを待っているだけなのです。

しかし、不幸なことに、我々の現在の執政党は、このことを余り理解していないように思えます。どの内閣も、経済活性化を口にしますが、どれも全て呼び声ばかりです。開放、イノベーション、ダイナミックな経済を推進する、経済体質を改善する、といっても、具体的な対策を打ち出すことが出来ず、我々の産業の転換アップグレードや産業の市場開拓を助けることが出来ない:台湾はイノベーションや起業の環境もひどくなってきており、企業の人材も流出し、中国企業に人々が大量に雇用されています。経済活動をすればするほど後退していき、海外にいる多くの若者が帰りたくても帰れないのです。政府は大きな成果を出す能力がなく、経済が低迷しているときには余り効果のない「小確幸(小さいけれども確かな幸せ)」を唱えるしかないのです。

今年の台湾の景気は、既に何ヶ月も連続して警告灯がついています。しかし、馬政府が押し出す対策は、人々に携帯を換えなさい、冷蔵庫を買いなさい、エアコンを買いなさい、などというものばかりで、こういうやり方を「短期」刺激消費プランと呼んで聞こえは良くても、実際はお金をばらまいて、人々が政府はよくやっていると考えてもらいたいだけのものなのです。

ここで、私は朱主席にお聞きしたいと思います。国民党の台湾経済に対する長期的な計画は一体どこにあるのでしょうか。人々は小確幸を追及できても、政府として、毎日小確幸ばかりを考えていては、人々は不幸に陥るだけです。台湾が必要なのは、国家を泥沼から救い出し、経済に新しいスイッチを入れる根本的な方法です。これが、私が今日ここに立っている目的なのです。私はこの若者や数多くの中小企業が、生活と事業での問題を解決していくのを助けたいと考えています。

よって、再度台湾の経済発展の大きな方向性を探し出すことは、将来政府の最も重要な責任です。私たちが踏み出す第一歩は、五大イノベーション研究開発を提案することです。それは「自然エネルギーテクノロジー」、「スマート機械」、「モノのインターネット」、「バイオテクノロジー医薬」及び「国防産業」でもって、イノベーションのきっかけを作って、産業の仕組みを全面的に整えていくということです。

この5つの産業は、次の段階のグローバル産業で最も潜在力のあるものであり、世界でも既に多くの一流会社があります。将来、もし私が総統に当選したならば、私の政府では、全力でこれらの国際的な資源を台湾に引き込み、企業の技術のグレードアップに協力します。我々はアメリカや日本の人材、技術、資金と連携し、共に台湾をモノのインターネットの「アジアシリコンバレー」にしていきます。我々はスイス、アメリカの一流バイオテクノロジー中心地と協力し、「アジア太平洋バイオ医薬産業研究開発センター」を推進して、台湾をグローバルなバイオテクノロジー産業の中心地にしていきます。これらの計画において、我々は産、官、学の資源を統合して、本土産業がイノベーションに取り掛かるサポートをしていき、順調にアップグレードさせていきます。
更に重要なのは、イノベーション研究開発は大企業だけのことでなく、多くの台湾の中小企業、素晴らしい技術と創意を持つ中小企業が、新しいプロジェクトに参加するのを支持するということです。中小企業が発展する方向を見つけて、再度台湾経済が前進するエンジンとなるようにしていきます。

この他に、私は国内市場を作り出します。将来、政府の公共投資は、台湾国内市場の発展の重点、「スマートシティ」、「都市計画」、「自然エネルギー開発」、「給水システムとスマートグリッドのグレードアップ」、及び「社会住宅、ケア施設の建設」に置くべきです。これら全ては、台湾人が最も必要としているサービスであり、台湾の会社のビジネスチャンスでもあります。国内市場は台湾企業のマイナーリーグとなり、技術の鍛錬が済んだ後で、今度は輸出というメジャーリーグに進出するのです。私は、輸出と国内市場のどちらも大切にすることで、台湾の経済体質は一層健康になると考えています。

私の五大イノベーション研究開発計画と、政府の国内市場の政策運用をあわせれば、質の良い雇用の機会が生み出されます。もし企業がイノベーションを通じて、粗利益の高い商品を作れば、我々は従業員により高い給与を支払うことが出来ます。私は台湾人が自己の技術と専門でもって、尊厳のある報酬を得、低賃金、過労から脱して、更に良い生活の品質を有していけるようにしていきます。

これが、私が提案する「イノベーション、雇用、分配」を中心とする経済発展の新モデルです。我々は小確幸だけが必要なのではありません。私たちは、更に大きな方向が必要なのです。親愛なる台湾の皆さん、これが、蔡英文が台湾を前進させていきたい方向です。この国家にはもう長いこと、短期間で評価されないことにも、取り組もうとするリーダーがいませんでした。しかし、私は喜んでそれをしていきます。そして、それが、この土地で最も厳粛な使命であると考えています。台湾の経済を救うのは、今から始めなければいけません。決心し、台湾の産業の仕組みと経済体質を徹底的に整えなければいけません。


私は、数年後、先ほど話した若者が既に故郷に帰り、父親の工場を継いでいることを望みます。私は彼と工場に座って、ともに台湾の変化を見たいと思います。そしてまた、台湾の数多くの若者が、2016年から、私たちと一緒に台湾を変革させていくこと、決して諦めないことを希望しています。私たちはずっと一緒にいるのです。

Share/Bookmark

0 コメント:

コメントを投稿