2011年10月9日日曜日

蔡英文候補:台湾には台湾独自の歴史があり、民主主義の台湾は永遠である 10-09


蔡英文候補は9日、翌日100周年を迎える「中華民国双十国慶節」を前にして、中華民国の解釈について改めて次ぎのようなメッセージを発表した。

3日前、128年前に落成した鵝鑾鼻灯台を出発し、屏東県佳冬で150年前に立てられた蕭家旧宅を経て、140年の歴史がある義香麻油工場を見学した。明日は台南市で120年前に漢方薬店から発展したバイオ企業を訪ね、1901年に建設された林鳳営駅を訪れる。
台湾という土地には豊かで厚い歴史の記憶と情念がある。それは百年をはるかに超えるものである。

こうした歴史の記憶と情念は、国民党のいう「建国百年」の歴史には包摂されていない。中華民国が1912年に成立したころ、台湾はその版図にはなかった。1949年後に中華民国は建国時の領土を完全に消失し、台湾に安住の地を見つけた。しかし、歴史論と土地は完全に乖離し、住民の情念とリンクしないままでは、住民の心を動かすことは難しい。
だからといって中華民国の台湾にとっての意義を否定するわけではない。国民党に注意を喚起したいことは、台湾には台湾の歴史があるということであり、台湾自身の歴史には、数千年前から原住民族がこの地に住み、この400年の間に外来移民が開墾したり、外来支配政権が交代したりしてきたことのすべてが、台湾人が代々血液と記憶の中に記してきた刻印なのである。これらはすべて住民の歴史である。

多くの人は最近話題の映画「セデック・バレ」をごらんになったであろう。しかしその話は決して「中華民国百年」の中に含まれていない。だが、これほど人々の心を揺さぶり、台湾という土地における歴史的記憶を思い起こさせたものはないだろう。このような情念は、「建国百年」といった(国民党の)政治的プロパガンダによっては決して形成されないものなのだ。
われわれはそういう視点で中華民国と台湾の歴史的関係を考えるべきである。1949年中華民国政府が台湾にやってきた後、長年の独裁政治時期を経たものの、この20数年の間に、動員時期の終結、国会全面改選、総統直接選挙などの民主主義の洗礼を受けた。今日、大多数の台湾住民は次のような認識を持っている:「台湾は中華民国」「中華民国は台湾」、つまり中華民国が台湾という土地および住民と完全に結合し、台湾において新たに生まれ変わったのである。
国民党政権が「建国百年」を祝っているとき、北京政府も辛亥革命百周年を慶賀している。両者の結びつきは「一つの中国」という観念にもとづいている。現在の政権担当者はいまだに中華民国の過去の歴史に固執し、「一つの中国」史観に固執している。そして台湾国民がすでに「台湾は中華民国」「中華民国は台湾」と感じている情念と認識を直視できないばかりか、北京当局による台湾主権に対する脅威を感じとれず、多くの台湾国民の不安や疑念を掻き立てているのである。

台湾という土地においては、民主主義は最高の価値であり、それぞれの政党が中華民国に対して異なる解釈をしていることを、互いに包容すべきであり、他方に押し付けようとしてはいけない。最も重要なことは、いかなる政党も「主権在民」という民主主義の原理に服すべきであり、民意に回帰しなければならず、2300万台湾人が真にこの土地の主人となり、自らの将来を決定しなければならないという点に立たなければならない。
民主主義とは異なる意見を包容することである。民主主義は対立するものに妥協点を見出し、「台湾コンセンサス」の基盤を作るものである。われわれが共に生活しているこの土地を、中華民国あるいは台湾と異なる名称で呼ぼうとも、こここそがわれわれが共有する国であり、共に築き上げた故郷なのである。同じ空気を吸い、禍福を共にし、さらにわれわれが共に築き上げてきた民主主義を愛し守ってきたのである。
そこで私は信じている。次の総統の責任はこの国を1912年という時代に引き戻すことではなく、人々を民主主義の将来に導いていくことである。
今日台湾人はこの土地を信じ、自分を信じ、互いの相違点を包容しなければならない。われわれ2300万の人民は民主主義の守護者なのである。
明日、私は台南市政府が主催する国旗掲揚式に参加する。しかし祝うのは決していわゆる「百年」ではない。われわれが祝うのはわれわれが守ってきた民主主義体制であり、2300万人民の主権であり、われわれが将来を決定する権利なのである。
そのため、包容こそがわれわれの団結をもたらし、民主主義こそが台湾を永遠に保つことができると信じている。

蔡英文 2011.10.09
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