2011年10月19日水曜日

蔡英文主席、馬英九氏の「両岸平和協定」を批判 10-19


蔡英文主席はこのほど馬英九総統が提示した「両岸平和協定」なるものに対して批判を行った。
国家の指導者が次世代に残しうる重要な財産とは平等に発展する機会と将来を自由に選択する権利を与えることだと信じている。選挙の勝敗は卑小な問題であり、国の将来こそが台湾人の命運に大きく関係するものである。今回の総統選挙はきわめて熾烈な戦いになっているが、争うべきことは台湾の発展と国民生活についてである。しかしきわめて遺憾なことに馬総統は国の指導者でありながら国の将来をギャンブルの対象とし、不用意に「両岸平和協定」なるものを持ち出した。これは選挙のために、台湾人の将来を政治的な危険にさらすものである。
「両岸平和協定」なるものはきわめて厳粛な問題であって、選挙の材料にすべきものではない。まずは台湾コンセンサスを結集し、両岸の恒久的な平和を構築することが必要であり、単なる政治的な算段で、自らの選挙における小さな利益を獲得するために、全国民の最大の利益を犠牲にするなどもってのほかである。
そこで現在私はしばし総統候補の身分を措いて、党主席として民主進歩党の厳正な声明を発表する。これは本日の中央常務委員会での議論を経たものである。



台湾の生存と発展を確保するために、両岸間の平和的な交流を行うことは、台湾人の共通の願いであり、本党が堅持してきた基本的な考え方でもある。過去半世紀にわたり台湾と中華民国の発展、さらに台湾海峡の平和的状態はわれわれが民主主義と人権という主流の理念を守ることによってもたらされたものであり、自己防衛の決意と、国際社会が台湾海峡安定に対してともに期待し構築してきた安定的な平和状態は「平和協定」なる一片の紙切れだけで達成されるものではない。
歴史的発展を見れば「平和協定」は必ずしも平和と安全保障につながるものではないことは彬から。中国政府はまさに1951年チベットとの間で17条にわたる「平和協定」を結んだが、その後チベットは数十年にわたる中国の政治的・軍事的な圧迫を受け、ダライラマが海外亡命を余儀なくされ、さらに無数のチベット人と僧侶が殺された。つまり「平和協定」の効果なるものは、締結当事者の「信頼度」に基づくものだということだ。今日の中国はいまだに全体主義支配国家であって、民主主義国家ではない。われわれはそこに横たわる潜在リスクと不安定性を無視することはできない。
そのため民進党は、馬総統がこの期に及んで軽率に「両岸平和協定」なるものを持ち出したことで、台湾人が次の4つの危険に直面すると考える。
第一に台湾の主権を犠牲にすることだ。中国は最近二人の指導者が相次いで「ひとつの中国の原則の下で、両岸の敵対状態を終結し、平和協定を締結しよう」なる主張を打ち出した。これは両岸問題は中国の国内問題だということであり、「一つの中国」原則の確立を目指したものだ。馬総統は故意か無意識かわからないが、こうした政治的現実を無視して、「平和協定」なるものに雷同し、しかも台湾の主権を堅持するという前提を打ち出さなかった。これではまさに台湾を中国の「反国家分裂法」に規定する「平和的統一」という政治的な術策にはめこむようなものである。
第二に、台湾海峡の現状の変更につながるということである。両岸政治協定を結ぶ前提としてはまず両岸双方の主権問題を位置づける必要がある。それ自体が過去半世紀にわたり台湾海峡両岸の主権が互いに隷属しないという現状の変更につながるものだ。中国側が「一つの中国」原則に固執するなかで、両岸問題を中国の「国内問題」とすることはこれまで国際社会が共同で維持してきた台湾海峡の現状および地域の安定性の正当性を否定し、中国がいかなる国が台湾に武器を売却することを阻止する大義名分を得ることになる。
第三に、民主主義を損ねる危険性である・台湾と中国の間でいかなる政治的な協商を行う場合、民主的に権限の授権と「台湾コンセンサス」を前提にしなければならない。馬総統はこうした強い対立をはらむ議題を打ち出し、台湾の前途を政策として、選挙の材料とした。こうした軽率かつ冒険的な手法は民意を無視し、台湾社会に強い対立を生み出すものである。
第四に、戦略的カードを失うことにつながる点だ。「平和協定」を「黄金の十年」なる政策に含めたということは、つまり10年内に実現させるためのタイムテーブルを示したに等しい。馬総統の政治的操作と粗忽さによって台湾が両岸交渉で持つべきカードを失うことになる。

民進党は主張する。両岸戦略は互恵であるべきだという考えから、「和而不同,和而求同」の精神を持ち、両岸間で長期的にたえられる平和的で安定した交流の枠組を形成し、成熟かつ穏健な態度で柔軟かつ現実的な政策を立案し、少しずつ安定した相互交流の枠組を打ち立てることこそが、真に平和と発展を確保する基本である。
そこでわれわれは主張する。両岸は政治的な前提を設けずに、政治的対話を進め、相互理解を進めるべきである。国家の位置づけにかかわる両岸政治協商は次の「三つの堅持」を前提にすべきである:
一、 主権の堅持:国家主権を堅持し、両岸協商は「一つの中国」なるものを政治的前提にしてはならない。
二、 民主主義の堅持:2300万人が台湾の前途を決定する権利を享有し、台湾の現状を変更するいかなる政治協商の結論も、台湾の国民投票を前提にしなければならない点を堅持する。
三 平和の堅持:中国が台湾に対する武力的威嚇を放棄し、武力威嚇の意図を蜂起することこそが真の台湾海峡の恒久的平和の基礎となる点を堅持しなければならない。

われわれは馬政権に告げる。政治的に敏感な話題をでっちあげて自らの失政を覆い隠そうとすることは責任ある態度とはいえない。両岸問題は穏健かつ現実的な態度で対処すべきであって、拙速であってはならず、ましてや選挙の材料にしたりして、主権および民主主義を犠牲にするようなことがあってはならない。
そのため、再度強調したいことは、今回の馬総統が提示した両岸「平和協定」なるもの、さらに「黄金の十年」なるマニフェストに入れたことは台湾社会にとって危険なものとなる。馬総統に対して訴える。こうした提案が台湾の主権と利益に大きな損害をもたらすことを認識すべきである。また台湾人民に対しても訴えたい。こうした話題を軽く考えるべきではなく、厳粛に受け止めるべきであると。
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