2011年10月1日土曜日

第 156号 2011年09月30日


民主進歩党ニュースレター(日本語版)月刊
第 156号
2011年9月30日
発行:民主進歩党本部国際事務部

台湾台北市北平東路30号10F
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発行人:蔡英文
編集人:蕭美琴

■今月のヘッドライン

◎民進党結党25周年、第14期第2次党大会、団結勝利目指して気勢
民主進歩党は24日午後、結党25周年記念式と第14期第2次全国党員代表大会(党大会)を台中市で開いた。
社会正義と福祉充実を強調した大会宣言「正義の実現、世界への前進」を採択。
同日夕方から結党二十五周年記念大会が開かれ、参加者が「台灣第一女總統(台湾ではじめての女性総統を)」と叫び、大いに盛り上がった。
その後、28日には結党25周年を記念した外交使節招請パーティを開き、蔡英文総統候補は、総統候補指名を受けてから欧州、米国などを訪問した成果を挙げて、台湾が今後中国を含む世界との交流拡大し、社会正義実現に強めるべきことを強調した。
また、10月初には日本も訪問し、地域協力の強化について語るつもりであることを披露。台湾人が東日本大震災で迅速な救援活動を行った点をあげて「台湾人が国際貢献を行う強い意思を示したものだ。台湾は信頼できる友人として課題に立ち向かい、地域貢献を行いたい」と強調した。


◎蘇嘉全氏を副総統候補に指名
蔡英文総統候補は9日、党秘書長(幹事長)蘇嘉全氏を副総統候補として指名したことを正式に明らかにした。蘇氏は民進党中世代のリーダーのひとり。

◎蔡英文総統候補が訪米
蔡英文総統候補は12日から訪米、20日台湾に戻った。随行者は全員で20人あまり。
・13日は、ワシントンにある共和党系米国エンタープライズ研究所(American Enterprise Institute, AEI)講演「今後十年の台湾国家安保の問題と戦略」では、対中政策について「民進党の対中政策は穩健かつバランスのとれたものである。責任ある政党として政策は必ず社会の主流とコンセンサスに基づくべきであり、国際社会の期待に応えるものでなければならない。民進党は極端や過激な路線を排する。歴史的な要因で、両岸はいまだに敵対的状態が続いているが、その未来はゼロサムではなく、相互に利益のある戦略的思考にもとづいてこうした状況を変えうるものと信ずる」と説明、米国と対中関係について対話と相互信頼強化が必要だとの認識を示した。また、国民党政権の中国認識はリスクやマイナス面を見ておらず、リスクやマイナス面に対する政府の政策的補填が必要だと指摘した。
・14日午後、米国連邦議会議員による歓迎晩餐会に出席。人権をうたった独立宣言文と、台湾の安全を保障した台湾関係法という二つの米国の文書が台湾と関係が深いことを提起し、米国議員たちの台湾への支持に感謝を述べた。
・15日午後、ハーバード大学イェンチン研究所で「台湾の政策的課題、機会、民主的ガバナンス」と題して講演。台湾と米国は移民による開拓、戦争、政府制度の確立、民主化をともに経験し、特に民主主義を信奉する点は共通している、と指摘。中国の台頭により、台湾の民主主義が外在的に脅かされているが、「台湾コンセンサス」を基盤にして、台湾の民主主義を維持、強化し、両岸の平和と安定と、両岸人民の繁栄と発展を守ることが民進党の使命だと説明、「民主主義は民主主義陣営の共通言語であり、台湾と世界の交流の基本でもある。責任ある国際社会の一員として、台湾は民主的ガバナンスと世界市民社会のために貢献をしていきたい」と締めくくった。

◎馬英九氏の露骨な対中傾斜、台湾主権を否定
馬選対本部の金溥聰氏はこのほど、馬総統が再選されれば国民党主席の身分で中国を訪問し、「将来的に和平協定を結ぶことを否定しない」と発言した。
陳其邁スポークスパーソンはこれについて「金溥聰氏は特に公職になく、こうした発言をするのは分不相応であるだけでなく、憲法が規定した馬氏の総統の身分を否定することは台湾の国家主権の否定である」と厳しく批判した。

◎馬英九氏「日本との投資保障協定は、日本がECFAを評価した結果」と我田引水
馬英九総統は22日、日本が台湾とこのほど投資保障協定締結に合意したことは、ECFAによって台湾の投資にプラスがあると評価したためだと発言した。しかし、日本が台湾との投資協定を急いだ背景は、馬政権による対中傾斜が酷い台湾をつなぎとめるための苦肉の策であって、日本からの台湾投資は減っている。馬氏の主張は事実からかけ離れたものである。



目次

■民進党大会結党25周年、第14期第2次党大会、団結勝利を目指して気勢
「正義の実現、世界に前進」 民進党党大会は団結勝利の雰囲気に包まれる 09-24
第14期第2次党大会宣言「正義の実現、世界への前進」 09-24
民進党結党二十五周年記念大会、「台湾で初めての女性総統を」 09-24
第14期第2次党大会、蔡英文主席挨拶 09-24
蔡英文総統候補:女性総統を生み出すことは全台湾人共通の誇りと栄光となる 09-24
民進党結党25周年外交使節パーティで蔡英文主席挨拶 09-28
■蔡英文総統の活動・副総統候補に蘇嘉全氏
蔡英文主席:アジア太平洋地域の安保と台湾海峡の平和は多国間協力と対話を通じて 09-07
蘇嘉全氏を副総統候補に指名 09-09
「投票に行く」層のなかでは民進党候補支持が高い 09-10
■蔡英文総統候補、訪米
蔡英文総統候補、訪米へ、台米両国の信頼関係強化目指す 09-12
蔡英文総統候補、米国シンクタンク講演「今後十年の台湾国家安保の問題と戦略」 09-14
蔡英文総統候補、米国連邦議会歓迎晩餐会で挨拶 09-15
蔡英文総統候補、ハーバード大学講演 09-16
■馬政権の失政・失策
総統身分を自ら捨てて党主席として訪中狙う馬氏、台湾主権を否定 09-12
馬英九氏「日本との投資保障協定は、日本がECFAを評価した結果」と我田引水 09-22
■中央常務・執行委員会
優先処理法案を報告 第14期第40次中央常務委員会 09-07
蔡主席訪米後、支持率上昇 第14期第18次中央執行委員会 09-21
司法改革に取り組む 第十14期第41中央常務委員会 09-28


■民進党大会結党25周年、第14期第2次党大会、団結勝利を目指して気勢

「正義の実現、世界に前進」 民進党党大会は団結勝利の雰囲気に包まれる 09-24

 民主進歩党は24日午後、結党25周年記念式と第14期第2次全国党員代表大会(党大会)を台中市雙十国民中学(中学校)で開いた。
 蔡英文・党主席兼総統候補、蘇嘉全・党秘書長(幹事長)兼副総統候補が決起集会で勝利に向けて気勢をあげた。選対本部の主任委員・蘇貞昌、総指揮・游錫コン、総督導・謝長廷、前副総統呂秀蓮ら各幹部が立法委員候補を激励。
 党大会では「台湾新世代社会経済決議文」と大会宣言「正義の実現、世界に前進」を採択、民進党が公平正義と台湾への自信と国際社会への参加を導く党であることを明らかにした。


第14期第2次党大会宣言「正義の実現、世界への前進」 09-24

 歴史的な前段階でわれわれは民主主義と自由を台湾の多元的で進歩的な文明の基本とした。今後を展望するに、民進党の次なる目標は公平正義の実践により、台湾という国を世界に向けて前進させ、若者に将来の国家像を示すことである。
 そういう国の中でわれわれができることは次のことである。
 努力しさえすれば発展の成果を享受でき、国による均等なケアを受け、弱者がこれ以上政府から無視され孤独を味わうことがない;
教育によって創造力を開発され、活動的で豊かな産業構造により、仕事は自己実現の機会となる;
 居住も権利のひとつであり、負担を感じたりすることなく、子孫を安心して養育できる。居住に対する階層間の差別がなくなる。
 同時に民主主義・自由・人権の価値が新たな輝きを見せ、若者が世界へと羽ばたくことができ、台湾へのアイデンティティと誇りを持つことができる。そして平和、安全その他一切のものを守ることができる。
 党内の仲間たちよ。近く行われる2012年総統・国会ダブル選挙においてわれわれは全力を尽くし、民主化に曲折があったとはいえ、民進党こそが新たな時代の意義や価値を切り開く政党であり、団結と責任を忘れなければ台湾の歴史の新たな段階を再度われわれが切り開くことができることを忘れてはならない。


民進党結党二十五周年記念大会、「台湾で初めての女性総統を」 09-24

 蔡英文総統候補は、蘇嘉全秘書長を正式に副総統候補として指名。24日台中市中心部の干城公園で結党二十五周年記念大会に出席した。
 午後四時から始まった記念大会では、市民団体などによるさまざまな屋台が出店、ミュージシャンの大支(トアキー)、Sumingらによる歌や踊り、選挙応援歌のお披露目などがあったあと、参加者が「台灣第一女總統(台湾ではじめての女性総統を)」とシュプレヒコールし、大いに盛り上がった。


第14期第2次党大会、蔡英文主席挨拶 09-24

 「十年政綱」は台湾政治を変える出発点になる。次の世代のためにわれわれは理性の政治が必要であり、民進党はそのための責任を背負っていく。選挙から変えることで、真の改革が進む。民進党は自信を持っている。台湾の政治を変える。しかし理性は情熱を欠いていることは意味しない。冷静さは激動がないことを意味しない。台湾の政治が情熱に満ちた理性の政治となることこそが、台湾の民主主義にふさわしいものとなる。理性も情熱もともに必要であり、情熱をもって2012年の勝利を目指そうではないか?
 この三年あまり、台湾の津々浦々を訪れ、見て聞いて、人々の喜怒哀楽と味わいを感じてきた。人々の生活は楽ではない。タクシーの運転手はガソリン代節約のために、たびたびエンジンを止める、屋台ではトラック運転手は、以前は小皿を余計に注文していたが、今はそんな余裕がないといっていた。なぜそうするのか?「子供のためだ」。馬総統は運転手や庶民が小皿をもう一度食べられるようにすることが任務である。人々はここまで節約していえるのに、政府は浪費が激しい。中央政府はこの3年あまりで1兆3千億元の債務増加となった。政府に問いたい。それは何に使っているのか。国民に得になてちないのではないか?
 馬政権が自画自賛する両岸関係のメリットについても人々は感じれらない。彼らの両岸政策の前提は台湾をますます分裂。対立させるものだ。馬政権のいたずらな両岸開放政策は台湾の投資、技術、サービス、雇用を中国に流出させ、台湾国内需要を減少させただけだ。代わりに中国からちょっとした観光客の増加と一部の企業の対中輸出の増加がみられただけだ。しかも両岸開放の利益は、中国政府と通じる一部特定の利権集団の手に独占され、大多数の人は利益を共有できていないどころか、所得分配はますます悪化している。両岸開放は大多数の利益にならず、むしろ貧困を加速させている。政府に問いたい。そんなに両岸開放がいいなら、なぜ血税を使って宣伝する必要があるのかと。
 さらにひどいことには、馬政権は15本の両岸協定は政治にタッチしないといっていたが、後で「九二年合意」を基盤にしていると言い直した。そして民進党に対して「九二年合意」を認めるかと言い立てている。そこには2300万の台湾人の保障は無視されている。政府は人民を売り渡すつもりなのではないか?
 「九二年合意」なるものは何か?それは台湾で議論対立のタネになってきた。国共両党だけが認めているに過ぎない。そこには民主的な手続きと議論がない。それのどこが「合意」で、台湾人に認めろという資格があるのか?
 両岸政策は台湾を分裂させるものであってはならない。中国の台頭はと存在は台湾をさらに団結させ、民主主義をさらに進歩させるものであるべきでこれを私は「台湾コンセンサス」の最大の目標と考えている。
 「台湾コンセンサス」は民主的手続きに従い、台湾内部で合意を形成したうえで、中国との交渉、対話に臨むことをいう。これによって台湾の主体性、多元性、将来性が確保される。台湾2300万人民は党派の別なく、同じ国民であり、「台湾コンセンサス」がひとつの党派を欠けばそれはコンセンサスではなくなる。馬総統と国民党に求めたい。これを批判するのではなく、合意の形成のために協調する政治環境を作るべきだと。2012年選挙後の台湾は団結一致して、台頭する中国に向かうべきである。
 「Taiwan Next」とは何かという質問が多い。台湾というわれわれの国は歴史的に前進しているようである。それは車が美しく、良い土地に向かって進むようなものだ。しかし途中にはいくつかのチェックポイントがある。
 われわれには異なる歴史的任務がある。かつては台湾の活力を経済発展に注いで成功させてきた。次には別の目標ができて、それは民主主義だった。本党の先輩たちがそのために台湾のエネルギーを結集し、民主化の道を切り開いた。
 2011年の今、台湾の次なる目標は、民進党が指し示さねばならない。
 われわれは貧しい庶民のために、努力しても階級の壁を這い上がれない若者のために、生活のために尊厳を失った人たちのために、未来が見えない若者のために、台湾の次なるチェックポイントは「公平正義」だと考える。公平、正義が必要だ。そのためには貧富格差の悪化を防がねばならない。
 台湾には異なる政治がある。団結した台湾のために、未来を確保するために、民主的手続きによる決定が必要であり、台湾のアイデンティティと意識を結集すべきである。つまり台湾の次なるチェックポイントは「コンセンサスと団結」もある。公平、コンセンサス、団結した台湾を率いて世界に対して「台湾が来た」ことを知らせねばならない。これが「Taiwan Next」の意味だ。
 民進党は台湾民主化において常に原動力となってきた。今回民進党が女性の総統候補を選んだことに感謝する。女性の候補を選び、そして女性の総統が誕生することは、台湾が女性に対して平等に対応することを意味し、台湾の民主主義の進歩と成熟ぶりを示すものとなる。感謝の心をもって、民進党のすべての人と全力を尽くして、「英嘉ペア」が総統選挙で勝利するためにがんばろう。
 台湾民主主義への挑戦は、中国の台頭にあり、経済的利権によって台湾政治に影響を及ぼそうとする策略にある。これが台湾民主主義に対する最大の外在的脅威となっている。馬政権と国民党の対中傾斜路線で、政府どうしは接近したが、馬政権と台湾人との距離は広がった。この強烈な対比こそが、台湾の民主主義が作用している点である。台湾民主主義の発展の重要な時期にあたって民進党はもう一度歴史的な使命を背負い、民主主義を守り、堅持し、2012年総統選挙では民主的力と国民の情熱でもって、民主主義の価値で台湾を団結させ、民主主義の再度の勝利をものにし、民主主義の進歩の二度目の高みを実現しようではないか。
(後略)


蔡英文総統候補:女性総統を生み出すことは全台湾人共通の誇りと栄光となる 09-24

 蔡英文総統候補は24日、結党記念大会で演説し、「2012年は台湾に女性総統が誕生するだろうという点で大きな転換点になろう。これは画期的なことであり、台湾は従来の束縛と枷を解き放ち、女性も国を指導する能力と資格があることを証明することになる。これは民主主義の成熟である。女性総統を生み出すことは全台湾人共通の誇りと栄光となる。歴史や伝統のしがらみから脱却し、真の近代社会、女性に平等に処遇し、女性が社会で活躍する機会をさらに増やすことを意味するからである。女性総統が台湾で生まれることで、台湾社会でより多くの女性が公共の場で活躍し、台湾人のためにより多くの貢献をすることが期待できる」と強調した。
 その一方で、台湾の民主主義が現在内包する危機を二つあげた。ひとつは現在の政権担当者の失政と無能により、台湾の主権が損なわれていること。もうひとつはよこしまな野心をもつ中国の台頭によって、台湾の民主政治の正常な発展が妨害されつつある問題である。
 「現在の政権」については次のように指摘した。
 「全面的な執政のはずが、全面的な失政となっている。それは不真面目で能力がなく、国民のことを考えていないからである。民意を尊重せず、国民に相談することなく、中国といかなる取引をしてきたかも明らかにせず、国民は恐れ、心配している。中国との秘密折衝で、台湾の主権と未来がどうなるか知らされない。台湾人としては台湾の将来を決定する権利を譲るわけにはゆかない」。
 「中国の台頭」については次のように指摘する。
 「中国の台頭は、経済的にも政治的にも軍事的にも台湾は直視すべき問題である。台湾は中国と平和的関係を維持しなければならず、アジアの一員として、中国との平和的で安定的な関係を維持する責任がある。われわれは多くを望むのではなく、ただ平和的で安定した関係を望むだけだ。そして台湾人が望むことは台湾の主権と尊厳の維持である。
中国はその台頭によって大きな経済的な力を持ち、台湾、台湾の占拠、台湾の民主主義のメカニズム、台湾の政治運営に影響を与えようとしている。台湾の民主主義が国民の自由意志の結果なのか、憂慮すべき点が出てきている。台湾人は台湾人であることを守り、平和的な関係を守り、台湾の主権と尊厳を守るべきである。蔡英文と蘇嘉全が政権をとることによってのみ、こうした平和と安定は維持される。一番重要なことは台湾の主権と尊厳である」。
 そしてグローバル経済の下で、米国などの経済が危機に瀕し、台湾も貧困層と貧富格差が拡大しつつある点を指摘し、「蔡英文と蘇嘉全が政権をとることによってのみ、社会的公平は実現される」「台湾はより世界に開かれるべきであり、台湾の運命は中国ではなく、われわれ自身が握っていると自信を持つべきである」と強調。
 また原発問題について、「台湾は小さい土地にもかかわらず、4箇所も原発を抱えている。そしてそれがすべて断層帯の上に位置し、世界で最も危険な原発のリストにすべてが含まれている。他国では原発を抱える地理的余裕はあるかもしれないが、台湾のような狭い国土ではそんな余裕はない。そこでわれわれは強い意思でもって、2025年までの脱原発化を実現しようではないか」と訴えた。


民進党結党25周年外交使節パーティで蔡英文主席挨拶 09-28

 蔡英文主席は28日、民進党結党25周年を記念して、台湾駐在の外交使節を招いたパーティで挨拶した。その主要部分は次のとおり。

 2012年総統選挙においてわが党は ”Taiwan Next”というスローガンを打ち出している。これは将来展望を示したものだ。これまで困難な環境の下でも着実な基盤を築いてきた。今の民進党は、国民から批判を受け入れる政府をつくり、台湾を未来に向かって導いていく責任を背負っている。雇用、経済、社会福祉、住宅、エネルギー、環境などの問題に対する国民のニーズに応えなければならない。社会正義の実現を重視し、台湾人が公平かつ自由に生活の質を確保することを選択できるようにしなければならない。バランスと開放の原則で世界と交流し、中国を含む世界のあらゆる国と交流を積極的に進めるとともに、それに伴うリスク管理も怠ってはならない。世界に開かれた特質は、台湾アイデンティティの一部となっており、台湾が世界に開かれると同時に、国際社会にも台湾に活動の空間を広げるよう期待したい。
 総統候補の指名を受けてから、すでに欧州、東南アジア、米国を訪問し、次は日本を訪問する予定となっている。このことでも民進党がいかに国際関係を重視しているかおわかりいただけるだろう。欧州訪問では気候変動とエネルギー問題、フィリピンではリベラルインターナショナル大会に参加し、友党と民主主義、人権、開かれた社会について議論した。米国では同盟関係の強化について語り合い、地域安保、両岸関係について意見交換した。来週は日本という歴史的にも文化的にも台湾と特殊な関係にある国を訪問し、地域協力の強化について語るつもりだ。台湾は3月に発生した東日本大震災で迅速な救援活動を行った。これは台湾人が国際貢献を行う強い意思を示したものだ。台湾は信頼できる友人として課題に立ち向かい、地域貢献を行うものである。
 政党として民進党はこれまでいくつかの発展段階を経てきた。この間、変化したことと不変のものとがある。二十五年の間、変わらなかったことは人権、民主主義、社会正義の拡張といった核心理念であり、社会的弱者の側にたって、その権益向上を目指すとともに、台湾の国際舞台への参加の拡大に向けて常に奮闘してきたのである。


■蔡英文総統の活動、副総統候補に蘇嘉全氏

蔡英文主席:アジア太平洋地域の安保と台湾海峡の平和は多国間協力と対話を通じて 09-07

 蔡英文主席・総統候補は7日午前、台湾安保協会が主催する「アジア太平洋地域の安保と台湾海峡の平和」に関する国際シンポジウムに出席した。
 日本人が東日本大震災後に示した冷静な対応と、震災復興に対する強い意思と勇気に対して最大限の敬意を示した後、台湾が地域の紛争や問題に対応する場合、日米同盟を基軸とする地域秩序や既存の国際的ルールにもとづいて解決しなければならない。
対中関係については、日米や国際社会の利益に顧慮しつつ一貫して対話による安定を求める原則を示した。
 台湾の民主主義と中国の台頭との関係について、台湾は先人の努力によって自由と民主主義を獲得したが、中国はいまだに一党独裁で不自由な体制である点への認識が必要である。台湾の民主主義こそが台湾をまとめるコンセンサスであるが、残念なことに国民党政権は「国共フォーラム」や「江陳会談」などでも民主主義のミの字も出さず、民主的手続きを無視している。
 国民党政権は「党による指導」を前提とした密室協議の枠組にこだわり、台湾の民主主義や中国の民主化促進という課題をなおざりにしている。民主主義と人権は台湾の最大の資産であり、中国の民主化を促すための積極的な行動が必要だ。中国が民主化することによってはじめて対等かつ安定した両岸関係となる。
 中国は世界的なパワーとなり、軍事力の拡張が目覚しい。世界の戦略関係と東アジア情勢に大きな影響を受け、台湾の地位も挑戦を受けている。
 台湾海峡は、馬政権の表面的な和平によって緊張が緩和しているとはいえず、いまだに不確実性に満ちている。台湾国防部がこの7月に発表した「国防報告書」が指摘するように、中国の台湾侵略の意図は放棄されておらず、台湾を狙った1000発以上のミサイルが配置されている。中国自身が今年3月に発表した「2010中国の国防」でも、軍事闘争を主要任務と位置づけ、東南沿海部で「独立阻止・統一促進」を目的にした大規模軍事作戦を計画している。米国国防総省も先月の「中国2011年軍事・安保発展報告」で指摘したように、中国は2010年軍備近代化によっても台湾を想定とした方向性を変えてはおらず、台湾は中国の戦略目標であり、台湾海峡の軍事バランスは中国に傾斜しつつある。
中国の影響を受ける北朝鮮による韓国に対する挑発が相次いでいるが、中国による「南シナ海主権紛争」も長年続いている。
 中国は東南アジア諸国との間で2002年に協定を締結したが、中国自身はそれを一向に守っておらず、南シナ海において軍事演習などを続けている。2010年3月には南シナ海を「核心的利益」と位置づけ、同年7月末南シナ海に三大艦隊の主力を結集させて地域対立をあおった。中国はフィリピンやベトナムの漁船を拿捕するなどして関係国の反中感情を激化させている。
 民進党は地域の平和、安定、発展の維持には台湾は4つの側面で貢献が可能だと考えている:
(1)「正義という普遍的価値」による関係各国の対等かつ実質的交流の基礎づくり。
(2)米国との戦略的パートナーシップを強化。
(3)日本をはじめとしたアジア太平洋諸国との協力と対話を強化。
(4)典型および非典型的な脅威に対して「地域安保問題に積極的に参加」。

 中国との関係については対等・互恵の原則で、多面的な対話を通じて、両岸の平和的で安定的な交流の枠組を形成すると同時に市民社会が台湾の発展にプラスの影響を与えてきた経験を生かして中国の市民社会・市民団体の発展に着目し、双方の市民社会の多面的で文化的な自主交流・対話を進める。
 台湾が地域問題に対処するうえで、日米同盟を主軸とする地域秩序を維持し、既存の国際ルールにもとづいて問題を解決する。対中関係については日米と国際社会の利益にもとづいて一貫して対話と安定を求める。地域的な問題と両岸問題については、台湾自身が持っている民主主義と市民社会の成長によって中国の政治改革を促すことが必要だ。




蘇嘉全氏を副総統候補に指名 09-09

 蔡英文総統候補は9日、党秘書長(幹事長)蘇嘉全氏を副総統候補として指名したことを正式に明らかにした。
 蘇氏は1956年10月22日生まれで、民進党中世代のリーダーのひとり。
 結党以来の党員で、国民代表大会(総統選出、憲法改正などを担った議会)代表1期、立法委員(国会議員)2期、屏東県長などのほか、民進党政権時代に内政部長、農業委員会主任委員(農水大臣)を歴任。民進党が2008年下野した後は蔡主席の下で秘書長を何度か経験。2010年11月の5大市長選挙では台中市長候補として出馬、当初30%低く絶望的とみられた下馬評だったが、5ヶ月あまりで覆し、最終的には国民党候補に2万票近くまで追い詰め、実力のあるところを示した。
 屏東県長時代にはマグロ県として著名にし、農水大臣時期には「漂鳥計画」として若者のうUターンと農業振興に成果をあげた。
 民進党が2012年に政権を奪還するにあたって重視している「土着経済」「新農業運動」を進めるうえで、蘇氏の経歴と業績は大いにプラスとなる。
 蔡「英」文、蘇「嘉」全の中の文字をとって「英嘉ペア」と呼ぶが、これは北京語で勝利者を意味する「贏家」と音が似ている。

 蘇嘉全氏は指名を受けて、「民進党は絶対に今度の選挙に勝ち、台湾人の信任を得なければならない。これまで3年あまり、民進党が底から再上昇するためにみんな奮闘してきた。当選後は蔡総統を補佐して、台湾の尊厳を取り戻さなければならない」と強調した。




「投票に行く」層のなかでは民進党候補支持が高い 09-10

 副総統候補指名を受けて民進党は10日、総統選挙支持について世論調査結果を発表した。
 43.6%が民進党候補、44.0%が国民党候補を支持と、誤差範囲にとどまった。
しかし投票に行くと答えた層の中では46.8%が民進党候補を支持し、国民党候補支持は44.4%と2.4%ポイント多かった。
特に投票意思が特に高い「投票に絶対行く」と答えた層では48.5%が民進党候補で、43.2%が国民党候補と、誤差範囲を超えて民進党候補の支持が高かった。
 無党派層の中では38%が民進党候補、21.3%が国民党候補だった。
 調査は8ー9日夜に電話訪問で、成功標本数967、95%の信頼水準、誤差約±3.2%
副総統候補の支持度では民進党の蘇嘉全氏が56.8%と、国民党の呉敦義氏の40.2%を大幅に上回った。
 不支持率では46.7%が現在行政院長である呉氏を不支持とし、蘇嘉全氏不支持の19.9%を大幅に上回った。
 副総統の人選については、50.9%が蘇氏はプラス作用だとし、呉氏はプラスだとした32.3%よりも多かった。



■蔡英文総統候補、訪米

蔡英文総統候補、訪米へ、台米両国の信頼関係強化目指す 09-12

 蔡英文総統候補は12日、訪米に向けて出発した。20日台湾に戻る。随行者は全員で20人あまり。
 蔡候補は今回の目的について次のように説明した。
 米国の関係者との間で、台米関係について意見交換し、強固とした信頼・対話の枠組づくりをすることである。民進党が再度政権を握ることで、両国の信頼関係は増進し、アジア太平洋地域の安定にプラスの作用をもたらすだろう。


蔡英文総統候補、米国シンクタンク講演「今後十年の台湾国家安保の問題と戦略」 09-14

 蔡英文総統候補は米国東部時間13日午後、ワシントンにある共和党系米国エンタープライズ研究所(American Enterprise Institute, AEI)で「今後十年の台湾国家安保の問題と戦略」と題して講演した。主な部分は次のとおり:

十年政綱(マニフェスト)
 民進党中央執行委員会はこのほど《十年政綱》を承認した。これは今後十年間台湾が直面する情勢と課題について扱ったもので、18の章にわかれている。それは農業、環境、科技、産業などに及ぶ。政権時代の政務官、顧問、民間学者、市民団体らが党内人士と長期間にわたって議論してきた成果である。政策の深みと成熟度を物語るものである。
 われわれはきわめて複雜な国際環境に直面している。しかも国を超えた問題が山積している。たとえば経済金融危機、伝染病蔓延、貧困の増大、エネルギー資源欠乏、気候変動、戦争、テロリズムである。同時にわれわれが目撃している世界的な変動において、米国がリードする国際秩序であるポスト冷戦構造が経済・金融危機によって大きな衝撃を受け、中国などの新興大国の台頭によって不確定な影響をこうむっている問題がある。台湾についていえば、金融危機の後、GDPの数字は成長を回復してはいる。しかし米国と同様に台湾もまた政府債務の増大、失業の増加、貧富格差拡大、労働賃金減少などの問題に直面している。台湾の経済・社会問題は世界的環境のひとつであり、問題解決は容易ではない。しかしこれまで台湾人は現実的な姿勢で問題に取り組み、まじめに働き、創造力を開花させて問題を解決してきた。そして将来もわれわれは楽観と自信を持って、良きガバナンスと責任ある政治指導さえあれば台湾はサバイバルでき、繁栄と発展が可能だと信じている。
 その他の民主主義先進国と同様に、今度行われる選挙では社会および経済的問題が争点となると考える。2008年以降数度の選挙で民進党は政策をリードしてきた。たとえば住宅政策、社会福祉、エネルギー、産業構造調整などである。そうして補欠選挙のたびに民進党は支持と自信を取り戻してきた。民進党はすでに立ち直ったといえるが、政権奪回後は国民の期待に応えた経済・社会政策を実施し、対外的にも利害関係者として必要な責任を担っていく覚悟である。そのためには国際社会について正しい認識が必要であり、バランスのとれた国家安保戦略が必要である。
・・・・
(対米関係を省略)
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対中政策
 台湾と米国の対話の過程で、中国は常に焦点のひとつであった。台湾の対中政策には多くの課題があり、米国が直面している課題と同一である。そのため、われわれは共通の利害関係を持っているといえる。積極的に拡大する中国軍、その中国にとっての「核心利益」が航行の自由と地域の安定に脅威をもたらしているということである。とはいえ、台米と中国との関係においては本質的に根本的な差異があり、対応も同じではない。そのため台湾と米国は常に目標と戦略について対話を重ね、両国が中国と関係する際に予測と一致が可能となるよう、相互の信頼関係を確立しなければならない。
 台湾にとって、対中政策は非常に錯綜して複雑なものを抱えている。経済、社会、政治、安保にわたる。両岸が1980年代末から接触と交流を始めてから、国際関係にシステマティックな変化がもたらされ、両岸の人的交流によって両岸関係はさらに複雑なものとなり、単に国家次元のイデオロギーや政治的立場によってはこの複雑な問題を処理できないものとなっているのが現実だ。そのためわれわれは明確な戦略目標や準備、そして柔軟かつ成熟した態度でもって両岸関係を処理しなければならない。
 《十年政綱》では対中関係について2章を割いている。それは国家安保篇と両岸経済篇である。
 民進党は対中関係の処理にあたっては、全体の目標は平和と安定した環境の発展にあり、台湾人がそのなかで経済を発展繁栄させる機会を持ち、ようやく勝ち得た政治的自由と生活方式を維持することにあると考える。最終目標は台湾人が台湾の前途を決定する権利を保持し続けることである。現状のいかなる改変についても民主的な方法で台湾人が決定すべきだということである。
 大多数の台湾人が受け入れている「現状」とは、台湾はすでにひとつの独立国家であるという点だ。台湾人は国際社会の中で挫折感を覚えてはいるものの、中国との間では政治的に分離した現状の維持を望んでいるのである。ますます強大化する中国の経済的重要性と台湾のあり方との関連性は否定できない事実だ。しかし台湾人は安定を望み、予測可能性と公平な環境の中で商売上の利益を望み、政府には潜在的なリスクを管理する責任を負うことを望んでいるのである。これが今後十年間台湾の主流の考え方である。それはどの党が政権を握ろうともこの現実と台湾人の希望に対する認識は避けられない。あらゆる重大な政策はすべて民主的手続きを通して立案されるべきである。私が提示した「台湾コンセンサス」とは、民主的な手続きの重要性を強調するものである。いかなる政策も国民のコンセンサスに応えることによってのみ発展させうるからである。逆にコンセンサスに基づかない政策決定は、脆弱であり、時間の経過にたえられるものではない。。
 台湾海峡の平和と安定を目標とするために、民進党の対中政策は穩健かつバランスのとれたものである。責任ある政党として政策は必ず社会の主流とコンセンサスに基づくべきであり、国際社会の期待に応えるものでなければならない。民進党は極端や過激な路線を排する。歴史的な要因で、両岸はいまだに敵対的状態が続いているが、その未来はゼロサムではなく、相互に利益のある戦略的思考にもとづいてこうした状況を変えうるものと信ずる。
 現実に即した戦略的理解が必要である。それによって安定と平和の下で両岸が交流することができる。一部の政党が両岸関係について偏頗な考えを持っているが、それは現在の社会大衆の現状認識から遊離したものでしかない。それが前提とするものは脆弱なもの(幻想)であり、両岸交流の基礎たりうるものではない。われわれは北京が「一つの中国原則」を変えるつもりがないと考えている。しかし北京はまた台湾について、台湾が外来政権の支配を受けつつも、民主化を求め、台湾人が主権を堅持し、いかなる一党独裁にも反対することを共通の政治的意思としてもっているという事実を認めなければならない。両岸は主張が異なっても、それが平和および相互利益のある協議の発展を妨げるものではない。両岸は今のところ異なる戦略的理解をもっていることを認め合い、同一の現実の基盤として共通の利益を求めるべきである。これが私が言う「和而不同,和而求同」の真意である。
 そして双方が異なるものと共通の目標を認知した後、安定的な対話の枠組を構築し、多次元、多方面にわたる交流の枠組を築き、それをさらに日常化し、紛争解決と衝突防止の枠組としていくことである。
 民進党と対話を求める中国の人たちに対して民進党は門戸を開いてきた。国共両党には歴史的なしがらみがあるが、民進党は本来中国人に対してはいかなる敵意も持っていない。平和的に相互の共通利益を発展させるためなら、中国が市民社会や市場経済をさらに発展させるうえで、民進党は建設的な役割を果たしたいと願う。
 民進党は中国人が民進党のシンクタンクを訪問することを歓迎する。また近年民進党所属の議員や首長らが訪中している。こうした相互訪問が相互理解に益するものと信じている。
 民進党が政権を奪還した後、マニフェストを政府の政策として実施することになろう。
 その場合に、まずよく聞かれる問題が、ECFAをどう扱うかという点である。確かに当初はECFAに対していくつか異論があった。特に手続き面で透明性に欠けた点は受け入れることができない。実質面でもわれわれが心配しているのは台湾側が十分な準備がないままに中国に対して急激に市場を開放することが、台湾経済にもたらすマイナスの影響である。そのため、ECFAには政治的な意味合いをもたせないよう警告してきた。しかしECFAはすでに締結、施行されている。そこで再度政権奪回した後は、定期的に効果について点検するほか、もし修正するべき点は修正を求め、民主的手続きと国際ルールにそって執行をしていくことになろう。
 次に中国との経済関係は複雑であり、既成事実であるという点だ。中国はすでに台湾にとって最大の投資相手先であり、貿易相手先である。そのためだれが政権を取ろうがそれを停止させることはできない。ある政党が政権をとったら対中経済関係はストップするなどという風評は、現実を無視したものでしかない。
 そして、市場と民間企業が両岸の密接な経済関係において重要な役割を果たしてきた。しかしわれわれは中国について、その将来性がリスクや不確実性をはらんでいることを無視してはならない。特にその政治システムは不透明性が高く、経済発展も国家資本主義モデルである。そのため、政府が両岸経済関係において果たすべき役割は、次のようなものだと考える。往来に伴うリスク管理と減少。両岸貿易の公平性確保。国際的多角経営の推進。弱体産業への支援などマイナス面への補填。
 国民党政権は対中経済関係がすべての経済問題を解決するなどと単純に思い込んでいるが、民進党は両岸に横たわる問題を正視すべきだと主張している。
 第三に、中国観光客の台湾訪問など人的交流についてである。民進党前政権時代に両岸直航の交渉を始め、国家安保的な問題を考慮しつつ、直航の利益を合理的に分配する方策を考えてきた。民進党は決して両岸直航に反対するものではない。観光客についてもまずは観光スポットのインフラ整備と強化が必要であり、いたずらに大量の中国人を受け入れることは旅客サービスの低下と他国の観光客の減少をもたらすだけとなる。
 複雑な両岸関係について、民進党は以上のように現実的で実効性があり、台湾人の利益につながる、持続的に発展可能な政策を主張し、そのために多くの精力を投入してきた。
(後略)


蔡英文総統候補、米国連邦議会歓迎晩餐会で挨拶 09-15

 蔡英文総統候補は米国東部時間14日午後、米国連邦議会議員による歓迎晩餐会に出席し、挨拶した。
 蔡候補は、人権をうたった独立宣言文と、台湾の安全を保障した台湾関係法という二つの米国の文書が台湾と関係が深いことを提起し、米国議員たちの台湾への支持に感謝を述べた。
 とくに「台湾関係法」第二条第三項で「本法律のいかなる規定も米国の人権への関心、とくに台湾地域千八百万人の住民の人権への関心に反してはならない。すべての台湾人民の人権の擁護と発展は米国の目標である」とうたっていることを重要だと指摘。台湾人の民主的な手続きによる「台湾コンセンサス」にもとづいて両岸対話と各国との平等な往来を進めたい、と述べた。


蔡英文総統候補、ハーバード大学講演 09-16

 蔡英文総統候補は米国東部時間15日午後、ハーバード大学イェンチン研究所で「台湾の政策的課題、機会、民主的ガバナンス」と題して講演した。
台湾と米国は近世以降400年の間、植民地状態、移民による開拓、戦争、政府制度の確立、民主化をともに経験し、生活習慣や言語の違いがあるものの、類似点が多いと考える。
 とくに民主主義を信奉する点は共通している。フランスのトックヴィルが「アメリカにおける民主主義」で民主主義こそが将来の世界を主導するものであると喝破した。実際、民主主義システムの下で米国は成長し、国際政治バランスの最も重要なパワーとなっている。多元的な社会は世界各地の優秀な人材を引き寄せ、米国の国力を強化する源になっている。米国人の民主主義への信念は、他国の民主化運動の支えになってきた。
(中略)
 そこでわれわれの課題と目標は、民主主義を守り、強化することにある。台湾には独裁時代の陋習から、国民党がこれまで蓄積した膨大な資産を持ち、政党間の競争に不公平が生じており、これを改革しなければならない。また立法の質を高め、選挙の財務規範をつくり、政治的透明度、責任性、公平性を確立しなければならない。また司法の中立性に対する信頼が不足しているので、政治的介入を排した、公平公正で独立した司法システムの確立が急務である。
(中略)
 台湾民主主義に対する外在的な問題は、主に台湾海峡対岸にある。中国は台湾の総統選挙のたびにさまざまな手段で台湾人を脅迫し、中国が期待する候補を応援してきた。しかしそれは逆効果となってきた。そのため中国は現在経済力で台湾に影響を及ぼそうとしている。これが台湾の民主主義の発展に対して不確定要因を構成している。
 民進党は中国政府に対して何度も両岸の政治的差異を認めることを要求し、民主主義と人権についても対話することを求めてきた。しかし北京側は一つの中国にこだわり、台湾人が自らの前途を決定する権利を否定し、経済的、政治的、外交的な優勢で台湾の孤立化をもくろんできた。これは台湾人の期待と反する行いである。
 台湾人の権利を無視するだけでなく、中国政府は中国人自身に対して過酷な弾圧を行っている。1980年代以来の経済改革とは裏腹に、政治的な進歩は有限である。今年初には反体制芸術家艾未未氏を逮捕し、昨年には劉曉波氏を軟禁してノーベル平和賞授賞式への出席を妨害した。また多数の人権運動活動家が消息不明になっている。これは両岸の差異を物語るものである。
 台湾は民主的権利を擁護している。だが台湾人は中国人には何の敵愾心もない。台湾海峡両岸の政治的軍事的対立は歴史的遺物に過ぎず、民進党は前向きに中国人に対して善意を示し、中国の民主化勢力にエールを送っている。
 市民社会の勃興は台湾の民主化の成功要因となったことは明らかだが、ここ数年中国でも市民社会が起こっているが、その発展は困難に満ちている。市民社会は中国の進歩にとって重要な力となりうる。民進党は両岸市民社会の対話と交流を奨励し、特に若い世代の相互理解を進める立場だ。
 「台湾コンセンサス」を対中交流の基本にするという戦略目標を持っているが、これこそが両岸の平和と安定を担保するものであり、両岸人民がともに繁栄と発展を求める自由と機会を保障するものだ。
(中略)
 台湾は海洋国家であり、対外貿易に命運がかかっている。グローバル化への参加は必然であり、それはチャンスであり、リスクもある。リスクとは自然環境の破壊である。(略)また今年三月の日本福島原発事故は原発の安全性と代替エネルギー開発の重要性を認識させた。台湾も既存の原発が3箇所、もう一箇所を建設中だが、いずれも震源地外にある。これまで台湾政府は原発の安全性についてなんら対応してこなかった。しかも国民党政権は核廃棄物を先住民地域に投棄し、問題となってきた。
 台湾は原発への依存を徐々に減らしていき、代替再生エネルギーを開発していくべきである。2025年までに台湾は脱原発国家となる。
 これは容易なことではないことは事実だ。再生エネルギーの開発コスト、官僚系統が消極的であることが問題だ。しかし政治指導者は堅い決意を見せるべきだ。
(中略)
 民主主義は民主主義陣営の共通言語であり、台湾と世界の交流の基本でもある。責任ある国際社会の一員として、台湾は民主的ガバナンスと世界市民社会のために貢献をしていきたい。


■馬政権の失政・失策

総統身分を自ら捨てて党主席として訪中狙う馬氏、台湾主権を否定 09-12

 馬選対本部の金溥聰氏はこのほど、馬総統が再選されれば国民党主席の身分で中国を訪問し、「将来的に和平協定を結ぶことを否定しない」と発言した。
 陳其邁スポークスパーソンはこれについて「金溥聰氏は特に公職になく、こうした発言をするのは分不相応であるだけでなく、憲法が規定した馬氏の総統の身分を否定することは台湾の国家主権の否定である」と厳しく批判した。
 しかも馬氏は「九二年合意はひとつの中国をそれぞれが解釈する。当方としてはそれはひとつの中華民国だ」としていたが、訪中では「中華民国総統」の身分を使えないというならば、まさに「一つの中国をそれぞれが解釈する」論を自己否定したのも同然であり、馬氏の主張はすべてペテンであるということになる。
 梁文傑スポークスパーソンは「政権政党の関係者が、大陸委員会を無視し、さらに台湾全国民の利益を無視して、勝手に両岸関係について従来の法を越えた発言をすることは両岸関係の安定かつ着実な発展に不利な影響やひいては危険をもたらすものである」と批判、「両岸関係は着実に一歩一歩発展を目指すべきで、それには台湾の主権を確保するという大前提を忘れてはならない」と釘をさした。
 また陳其邁スポークスパーソンは1951年にチベットが中国に強要されて結んだ「和平協定」が中国によるチベット併合の引き金となったことと、 1989年に発生したチベット人蜂起事件をチベット自治区総書記として鎮圧した責任者が今の国家主席胡錦濤氏である点を挙げて、金氏の主張があまりにもナイーブなことを批判した。


馬英九氏「日本との投資保障協定は、日本がECFAを評価した結果」と我田引水 09-22

 馬英九総統は22日、日本が台湾とこのほど投資保障協定締結に合意したことは、ECFAによって台湾の投資にプラスがあると評価したためだと発言した。
 これに対して陳其邁スポークスパーソンは「因果関係は逆である」として、次のように指摘した。
 民進党が独自につかんだ情報によれば、日本経産省が台湾の極度の中国傾斜を憂慮したことが原因だということだ。事実、2009年3月、当時の麻生太郎首相時代に投資保障協定について検討が始められ、民主党政権になってからも、前原誠司が外相時代に積極的に進めてきた経緯がある。
 日経新聞8月13日付けの報道では、日本政府は馬政権の対中傾斜への警戒感が起こっており、続く9月22日の報道では「中国が反対することは知りながら」台湾との協定締結を決定したとされる。
 つまり、馬氏がいう「ECFAの王ラス面を評価して」というよりは、ECFAに懸念を持って日本が締結を急いだというのが真相だ。
 台湾と日本の間の投資をめぐる障害はもともと少ない。
日本が台湾との投資協定を結んだ背景には、親台湾派政権が相次ぎ、馬政権による極度に対中傾斜にある点を憂慮し、台湾をつなぎとめるために合意を急いだためだ。
 しかも馬氏は、もともと投資保障協定ではなく、ECFAを結べばFTAだといっていたではないか?ところが、日本とのFTAは影も形も見えない。FTAがいつの間にか投資保障協定に摩り替わっている。
 しかも、日本からの投資も増えるどころか、減る傾向にある。今年1-8月の台湾政府が許可した日本企業の投資総額は2.92億米ドルで、全年の予測僅約4.38億米ドルに過ぎず、2010年度実績と変わりない。つまりECFAを評価して日本が台湾投資を評価したなどという馬氏の主張は、まったく根拠がない。民進党政権時代の2000~2007年には年平均で8.26億米ドルの投資があったことを思えば、実は馬政権になって半減しているのだ。


■中央常務・執行委員会

優先処理法案を報告 第14期第40次中央常務委員会 09-07
 第14期第40次中央常務委員会が7日開かれた。
 立法院院内会派代表の柯建銘氏に十年政綱にもとづく優先処理法案について報告してもらった。
 優先処理の法案は、8ジャンルにわたるもので、居住の権利、土地の権利、農業の持続的発展、環境保護、良い家庭環境、雇用対策、ワーキングプア対策、司法人権、地方ガバナンスで、26本の法改正案となる。
 立法委員候補について、新北市中和区に江永昌、台北市文山区に阮昭雄を擁立、また台北市松山・信義区、桃園八徳、金門、馬祖には公認候補を立てないことを決めた。


蔡主席訪米後、支持率上昇 第14期第18次中央執行委員会 09-21
 第14期第18次中央執行委員会が21日開かれた。
 台中市7区立法委員候補について、簡肇棟氏が交通事故のため辞退したことから、代わりの候補を4人の中から世論調査方式で決めることにんした。
 蔡主席の訪米は成果が大きく、総統選挙支持率でも蔡主席が37.4%と、馬英九氏の36.2%をわずかに上回っている。


司法改革に取り組む 第十14期第41中央常務委員会 09-28
 第十14期第41中央常務委員会が28日開かれた。
 国民党再執権後、司法は選挙と政治の道具に堕し、一審と二審で判決が天と地で開きがあるなど、きわめて恣意的な判決が横行しているが、この問題について、謝長廷・元行政院長を座長にした対策部会を設置することにした。
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