2014年9月13日土曜日

蔡英文:民主、人権、正義の価値で世界と繋がる


民主進歩党蔡英文主席は13日午前、「アメリカのアジア回帰とアジア太平洋地域の安全」国際検討会にて「アジア太平洋の情勢変化における台湾の役割と将来」演説を行った。蔡主席の演説は以下の通り。

羅福全理事長、台湾の皆さん、長島昭久議員、John J. Tkacik氏、及び会員の皆様こんにちは。

1年に1度の安全保障協会の大きなイベントに参加でき、皆様と一緒に台湾に関係の深い地域安全の議題について話し合える事を嬉しく光栄に思っています。

羅福全理事長と安全保障協会の先輩たちは、長い間台湾とアメリカ、日本の関係に力を尽くされ、我々の学術交流と対話の機会を多く与えて下さいました。    我々のアジア太平洋地域の安全の議題とそれに関連する政策に多大な力を寄せられ、多くの貢献をなされてきました。ここ数年、我々はとても良い成果を出してきています。国内外の多くの皆さんと盛大に会を開催できることに感動しています。皆さんに尊敬の気持ちを表したいと思います。我々がともにアジア太平洋地域の安全に貢献していけることを願っています。

台湾は島国であり、数百年以来、グローバルな発展をしてきました。経済貿易が生存の大きな力であり、我々はグローバルで地域的な政治、経済、産業の枠組みにおいて自己のポジションを定めてきました。世界の変動がますます速くなっていく中で、我々のポジションは情勢に従って変化をさせたり調整したりしなければなりません。そのことで、世界の版図で最も有利な自分たちに適した座標を見つけていく必要があるのです。
  
より積極的な観点から言えば、我々の発展の過程で、永続的なエネルギーを探すだけでなく、世界において貢献し、プラスとなる役割を果たさなければいけません。

20世紀から、数十年にわたって台湾は農産品、工業品、ハイテク産業品の輸出に力を入れ、国際市場で高品質な良いイメージを築いてきました。つまり、MITは「Made in Taiwan」、つまり設計、創意と品質の象徴であり、台湾のソフトパワーの一つであります。

しかし、残念なことに、ここ数年で続けて幾つかの重大な食品安全の問題が発生しています、可塑剤、綿実油、そして現在の下水油事件です。これらは我々国民の健康に外を与えるだけでなく、政府の信用にも関わり、更に台湾ブランドの国際的なイメージにも傷をつけ、我々が誇りに思ってきた「MIT」が試練に直面することになったのです。
これは我々人民の基本的な権利と福祉にとどまらず、台湾のソフト力の存続と国家が長期的に生存、発展していくことと関係しています。

現在のアジア地域は強大な経済力を秘め、政治も再構築されているところであり、アジアは全世界で最も発展性があり、同時に複雑な地縁政治の存在するところでもあります。アジアは活力と喧噪の中で躍起しており、アジアが世界の将来を決定するでしょう。

この時期私たちは民主と政治改革の波がアジア地域に広がっているのを見てきています。2010年ミャンマー軍が長年監禁してきたアウンサンスーチー女史を釈放し、それに続いて政治改革をスタートさせました。今年の5月インドでは選挙が行われ、政府の機能を向上させ経済を振興させることを望むインドの人々は、ついに10年に及ぶ政権の統治を終息させ、政権交代を実現させました。インドネシアの総統選挙では、若くて親しみがあり改革イメージのある候補者が勝利しました。これらのことから、民主と政治改革の波がアジアに押し寄せ、アジアの人々が民主を通じて自分たちの将来が良いものとなることを期待していることが見てとれます。

同時にアジアの安全の局面が変化と挑戦に直面しており、地域で共同の対応が必要になっています。7月に日本では憲法解釈変更の閣議決定を行い、集団的自衛権が解禁され、これは日本が将来日米安保において更に積極的な役割を果たして行くことを意味しています。インドのモディ首相は日本訪問後、インドと日本の両国が国防と安全の方面で協力していくことへの希望を表明しました。長い間、地域内の各国は東アジア、東シナ海、南シナ海での主権と天然資源開発などに関連する問題で争議がひっきりなしに起こり、国際社会の憂慮は大きくなり、地域の不安定なリスクは高いままとなっています。

こうした地域の政治局面と安全情勢の変化に対応するため、アメリカの「アジア回帰」と「リバランス」戦略が重大な課題に直面しています。アジア地域の各国が共同で挑戦に対処していかなければなりません。しかしこの時同時に、アジアの躍起が新しい経済の動きをもたらし、新興市場を創造し、以前はなかった発展の機会を提供しています。台湾はこれを十分に掌握しなくてはなりません。この変化の情勢にあって、我々は台湾がアジアの民主の錨、自由の島となることを希望しています。マッカーサーはかつて台湾の事を「沈まぬ航空母艦」と形容しました。なぜなら、台湾はアジア太平洋の政治局面で非常に重要な鍵となるポジションにあるからです。台湾はアジア太平洋の最も重要な航路線上にあり、台湾の戦略的な重要性は言うまでもありません。

目下の地域安全の局面の変化において、台湾の重要性はアメリカや他の地域の国家にとって、実際代わることのできない地位となっているのです。台湾は民主主義の価値を守り、民主、人権、正義等の価値で地域の国家と世界に繋がります。台湾はアジア地域で安定した、確固とした民主の錨なのです。

アジアの安定と安全の鍵は、私たちは台湾にあると考えています。台湾は民主的で、開放的で、多元的な社会です。私たちの民主制度と価値は、アジアの平和と安定の重要な礎になります。なぜなら、我々はアジア民主の模範であるだけでなく、中国の将来の発展、両岸平和と発展について、また地域の安全と安定について、無視できない影響力を持っているからです。

地域の平和、安定と発展に対して、台湾は幾つかの方面で努力することができます。第一に、アメリカ、日本などの民主確固と戦略的パートナー関係を深め、協力と助け合いを強化していきます、そして日米安保の地域における積極的な役割を支持し、共同でこの地域の安全と安定維持に貢献します。第二に、我々は民主、正義、人権、自由の普遍的価値を堅持し、国際的な規範に従って、外交を通じて各争議を平和的に解決していきます。第三に、我々は台湾の自衛防衛の実力と決心を強化し、台湾が自分たちの安全を守る意欲と能力がある事を示していき、地域国家の安全対話と交流を続けていきます。

両岸経済貿易関係では、我々は両岸経済貿易の交流と連結のほか、同時に地域経済統合、TPP,RCEPへの加入等、主要貿易パートナーとの連結を強化する必要があります。バランスがあり多元的な経済貿易戦略をもってこそ、台湾を経済的に自立させ、台湾の民主主義が外部から影響を受けることなく我々の政治的な自主性を保っていけるのです。

両岸関係において、私たちは両岸の長い間にわたる異なった見解を直視し、積極的に両岸争議解決の道を探っていきます、民進党はしっかりと、実務的に、安定した歩みで両岸に新しい交流と対話のモデルを作る努力をしていきます。平和で安定発展する両岸関係を実現させていきます。

最後に、私はこれから述べる幾つかの考え方で結論を申し上げたいと思います。先ず、台湾の置かれている状況は特殊で困難なものであります、去年私はイスラエルを訪問し、知名なシンクタンクの学者と座談会をし、イスラエルが抱える内外の問題について討論しました。そして彼らと台湾が面する国際的な境遇について分析しました。中東の問題は複雑で、からみあっており、難解で、多くの人が戦火で死ぬか生きるかのプレッシャーの中にいます。しかしこの困難にあっても、学者は私に言うのです。台湾の立場と交換したくないと。

ここからわかることは、台湾の置かれている状況がどれほどまでに特殊で困難なものかということです。しかし、我々はだからと言って落胆したり、挫折を感じたりする必要はありません。

台湾の全体的な国力において、特に軍事力で、大国と比べることはできません。しかし我々は民主自由と開放多元的な価値、優位な科学技術、創意と経済貿易の実力でもって、地域や世界に貢献できるのです、つまり「ソフトパワー」で世界とつながり、他の国家と協力し合い、共に地域の平和と安定を守り、台湾は国際社会で責任を果たしていけるのです。

民主は台湾にとって最も大切な資産です。私たちと世界が繋がる重要な基礎であり、台湾の安全、安定、永続的な発展の確信的な鍵となるものです。ご来賓の皆さん、私たちは努力を続けます。台湾の民主を深化させることで、外部からの干渉を排除し、様々な挑戦に対応するエネルギーを蓄えていきます。


最後に、主催者のお招きと、拝聴してくださった皆さんに感謝いたします。ありがとうございました。

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