2015年3月6日金曜日

台湾の地域発展の新しいビジョンを描く 蔡英文:六都市を中心に、六大経済戦略地域を作り出す


民進党の蔡英文主席は6日、台湾アジア太平洋発展基金会の招きで、台湾未来発展検討フォーラム「国土基盤整備と国家永続発展会議」に出席し、開幕式で挨拶を行った。蔡主席は挨拶で、国土の空間利用と発展のアンバランスにより、地域の格差、地方の衰退、首都圏の発展がもたらす心配事、の三つの問題を生み出している。よって、全地域の発展計画では、島嶼生態系の保護、交通網やインターネットの整備、地域経済発展の新しいビジョンを三つの重要な方面で描いていく必要がある。将来の地域経済発展のビジョンは、六都市を中心として、六大経済戦略地域を作り出す方向で考えることである、とした。蔡主席の挨拶は以下の通り。

康寧祥董事長、李健全教授、ご来場の皆さんこんにちは。この会議にお招き光栄です。そして、専門家や学者の皆さま方の台湾の国土計画と永続発展に対する熱情と努力に敬服しています。今日の講演の準備の最中に、私たち民進党でも政策の考え方の整理を行いました。今日のこの機会を通じて皆さんにご報告出来ればと思います。そして、皆様から私たちに対するご意見と論評をいただければと思います。国土計画は、各地域の開発、利用と環境保護を含んだ、国家の発展と人々の生活福祉に関係することです。この数年、私はしばしば党主席として、または候補者もしくは応援者の身分として、国土計画についての私の意見を出してきました。なぜならこれは台湾が目下面している最も重大な挑戦だからであり、執政者と与野党の政党が避けては通れない責任だからです。

去年の九合一統一地方選挙で、民進党は「地域連合統治」の概念を提出しました。実際この概念は新しく作られたものではなく、私が行政院副院長の時に、行政院には既に「幾つかの中心を有する国土発展」の政策がありました。2010年民進党の「十年政綱」において、我々は再度国土発展戦略を見直し、地域近郊と地方統治を実現し、幾つかの中心を持つことで、国家発展の空間のアンバランスという問題を解決し、都市と地方の発展のバランスをとっていくことを強調しました。

このような理念は、2014年の九合一選挙において、更に一歩進んだ「地域連合統治」のやり方として提示されました。民進党は13の県市で勝利を収め、このような考え方を実現可能にしました。中央政府がまだ全体的な計画地域発を出していない状況で、地方政府は出来る限り主張を出し、民進党政権下の地方県市が互いに協力しあい、共同で建設と計画を行うようにしています。もし将来民進党が政権に復帰する機会があれば、全面的に国土計画を検討し、永続的発展に向けて、政策の計画を進めていきます。

我々の観察では、台湾の国土空間の利用は、非常に北に偏っている状況です。しかし台湾の元々の様相はこうではありません。1970年代以前、台湾の人口分布は比較的平均的でした。北部の住人口は全体の36%、南部は32%で、差は大きくありませんでした。各地域がそれぞれに特色を持っていました。しかし均衡に発展させるという国土計画の理念が欠けていたために、長年の変化を経て、人口は速いスピードで北部に集中してしまいました。2008年まで、北部の人口の比率は46%に達し、南部はたった27%となり、誰もが台湾の発展は既にアンバランスで、資源の配置も南北で格差があるとわかってきました。

人口は一つの総指標に過ぎませんが、この40年来、経済であれ、社会であれ、文化または政治資源であっても、全てが北部に向き、特に台北集中という一種のどうにもならない社会現象となってきました。昔の流行歌で「お母さん御身体をお大事に」や、最近では「向前行」の歌が、台湾の人口や経済活動の多くが北に集中している状況を表現しました。人口が北に集中することは、政府資源の配置が北重視南軽視となる問題を生じさせ、悪循環となり、南部産業や就職市場の格差をうみ、地域のバランスある発展に悪影響を与えてきました。
国土の空間利用と発展のアンバランスは、地域格差、地方の衰退、首都圏の発展が人々の不安を引き起こすものにまでなりました。例えば、我々が関心を持っている居住正義の問題は、北部地域では極めて深刻となっています。

先ずは、「地域格差」についてです。政府の資源の多くが人口の多い北部に注がれ、他の地域の経済活動が減少し、人々は地元での就職が困難となりました。自然と人口が流出し、地元の高齢化が更に悪化しました。

二つ目の問題は、「地方の衰退」です。若い人の大量流出により、地方が発展する可能性が次第に少なくなってきました。例え地方政府が工業と観光を呼び寄せても、全体的な発展の計画と資源が欠如しているために、地方の景色が破壊され、消えてしまい、地方の活力が全くなくなりました。

3つ目の問題は、「首都圏の発展が人々の心配になるという現象」です。多くの人口が北部に集中しているために、土地と家の値段が高騰し、中産階級も生活が苦しい状態となっており、若い人にとっては悪夢にさえなっています。余りに密度が高すぎて、都市の生活品質を上げることが出来ずにいます。その一方で、土地の利用と開発と同時に、土地の環境収容力が十分に考えられておらず、完全な計画がないために、生態と環境保護の重要性が無視されています。台湾の大自然と文化的な美しさが破壊されただけでなく、国土の乱開発と天然災害のリスクが生じています。これらは正していかねばなりません。

以上のこのような問題は、全て政府が責任をとるべきことであり、逃げることの出来ない問題です、国家の健全な発展のために、政府は具体的な方法をだし、国土の永続発展の観点から、土地開発利用と生態環境の保護の原則の下で、十分に各地域の潜在能力を発揮させながら、統合し、台湾の国際競争力をあげるような全体的な地域発展計画をつくるべきなのです。よって私は、全体的な地域発展の計画は、幾つかの重要な方向があるべきと考えています。

第一に、島嶼生態系保護についてです。台湾の豊富で脆弱な生態系に対して、長い間政策の主導であった発展優先と言う考え方に替わり、永続発展、平和共存を考えなければいけません。海洋、海岸、山脈、河川などの環境脆弱地域について、政府は再度調査と計画を行うべきです。まだ壊されていないものについては、積極的に保護するべきであり、既に損害があるものについては、急いで元に戻さなければなりません。この問題について、民進党の提出した「国土計画法」と「国土回復条例」の法案には、これらの価値をとり入れていますが、国会で全く何の効果的な進展もありません。

第二に、高速交通網とネットワークの環境整備です。これは国土の平均的な発展に重要な前提となるものです。交通網については、高速道路、快速道路、鉄道などの公共交通網が張り巡らされていることが非常に重要なことです。もし 既存の基礎の上に、速くて効果的な交通システムが構築されれば、主要な都市間をスピーディーに移動でき、辺鄙な場所を失くすことができます。
その他、交通網よりも更に重要なのが、ネットワークです。私たちは、十年以内に有効的にインターネットの使用効果を上げて、格差のない情報通信サービスを提供します。そうすることで企業が投資する際の地理的選択に弾性が生まれ、地域発展に多元的で平均的な可能性が生まれます。

第三に、地域経済発展の新しいビジョンを描くことです。台湾は海に囲まれた島国経済であり、グローバルな競争に向かい合わなければいけません。よって、国土の空間利用は「補い合いと統合」という幾つもの中心を持つ地域経済発展の戦略を重視するべきです。将来は台湾を幾つかの相互補完的経済戦略地域に分け、六都市をその中心とし、周辺の県市を併せて地域連合統治を進めて行き、それぞれに特色があり補完しあえる地域経済発展の新しいビジョンを描いていきます。

幾つもの中心を持った国土利用の仕組みに合わせて、将来は中央と地方政府が協力しあって、全方位的なソフト建設を推進し、地域経済の基礎建設と法整備を行います。同時に、就職とイノベーションの経済成長の新しいモデルを重視し、産業の多元的発展を奨励していきます。そして、台湾新幹線の国土利用に対する影響力を十分に活かし、積極的に台湾新幹線特定地域を発展させ、市場にイノベーション産業や、研究開発機構、企業本部やサービス施設を引き入れ台湾新幹線沿線に配置し、くまなく乗り換えできる交通計画を作り、産業を真珠のネックレスのようにつなげていき、台湾の各地域に平均的に分散するようにします。

将来の台湾の地域経済発展のビジョンについて、多くの皆さんが異なった、新しい見方を持っていると思います。私たちは試しに簡単な整理を行い、以下の幾つかの方向で考えてみてはどうでしょうか。

桃園新竹苗栗地区、は客家文化を基礎としています。電子とバイオ技術産業の科学技術要素を発展の特色とし、伝統的で現代的な生活圏になっています。

台中彰化南投地区、国際的な精密機械産業を有しており、完全な交通網を作り、地域の観光と産業活動を繋げて、中部台湾の国際大都市にしていきます。

雲林嘉義台南地区、ここは深い伝統文化の基盤がある地域です。台湾の穀物倉庫の役割を果たしているだけでなく、将来、先進的な農業の重要な発展基地となります。

高雄屏東地区:既にあるエネルギーバイオ技術産業を基礎とし、引き続き海洋と太陽に関連する産業を発展させ、海洋文化の特色を発揮させていき、台湾の重要な国際門戸となります。ここで言う海洋と太陽に関連する産業について、過去北部の学者と専門家の政策討論においては、比較的あいまいなイメージがあるものと考えられました。しかし実際、私が高雄に何度か足を運ぶと、高雄が海洋文化産業の討論を既にかなり多元的、充実して行っていることが分かりました。そして南部の学界の十分な参与を得ることができました。

私は、これを非常に嬉しいことと思いました。なぜなら長い間政府の産業計画の策定は、だいたいが新竹以北の大学や機構出身の人々によるものだったからです。しかるに地域近郊発展と地域経済発展の計画の討論のさい、私たちが無視してはいけないことは、一つ一つの地域の人材と政策の考え方が次第に成熟し完全なものになってきているということです。
これらを、我々はどのようにして国家のビジョンに入れこむかということは重要な課題になってきます。同時に、澎湖との緊密な生活ネットワークを作ること、例えば医療において資源を提供するなど、離島にもより良い生活の品質を享受させなければなりません。

花蓮と台東地区と金門馬祖地区は、生態資源とレジャーや観光のスポットとなり、花蓮台東発展条例と離党建設条例の支援下で、地域の景観と文化的特色を維持していきます。その一方で、特に交通の建設など、人々の暮らしを便利にし、生活の品質を良くしていきます。

台北新北桃園基隆宜蘭の首都圏は、現在は国際経済貿易の中心であり、基礎が十分に備わっています。よってこの基礎に基づき、引き続き国際経済貿易の中心としての役割、経済イノベーションのリーダーとなることを期待しています。しかし、現在の首都圏の居住と生活品質の悪化の問題について、私たちは地域均衡発展の概念の実現を通じて、首都圏の負荷を減らしていきます。同時に、私たちは都市の改造刷新を進め、首都圏の住民たちがより良い生活を送れるようにしていかねばなりません。

今述べた改革を推進することは決心がいることであり、弛まぬ努力と働きが必要となります。実際、多くの建設に既に雛形がありますが、問題は政府が計画をして実行する決心があるかどうかです。このような計画や経営と管理の仕事は、つまり将来の台湾政府の努力、考え方を変えるポイントになります。私はどの地方に行っても、いつも若い人が私に話すことは、故郷で就職したいが故郷にはチャンスがない、ということです。よって、将来のためにチャンスを創造することは政府の責任です。もし今の政府が出来ないならば、新しい責任感のある政府に変えましょう。これが、私たちがここに集まった理由です。これこそ私たちが一緒に努力していく方向です。


康寧祥董事長、李健全教授に対し、このような場を作ってくださったことに感謝します。この会場には民進党の政策会、シンクタンクの仲間がいます。皆が遠慮せずに言いたい事をどんどん発言し、貴重な意見を出し、意見交換を行って、我々にアドバイスや励ましを下さる事を望んでいます。それらを民進党の将来の政策の参考にしたいと考えています。ここにお集まりの皆さまに感謝を申し上げるとともに、大会の成功を祈っています。皆さんありがとうございます。

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